科学館を利用する > 展示ガイド > 展示フロアマップ > 天動説から地動説へ
紀元2世紀にプトレマイオスがえがいた宇宙像は、古代から中世を経て近世に至るまで、およそ1300年もの長い間、天文学のバイブルとしてヨーロッパの社会に君臨していました。
やがて16〜17世紀になって、宇宙観の大転回が起こります。コペルニクスがそれまでの常識をくつがえす太陽中心説をとなえ、ガリレオが望遠鏡で宇宙の真の姿を明らかにし、ついにニュートンによって、万有引力に支配された新しい宇宙観が創造されました。
この展示物では望遠鏡の模型や天球儀の実物を交えて、宇宙観の変遷を紹介します。
【望遠鏡で見た宇宙の姿】
1609年、ガリレオは手製の望遠鏡を初めて星の世界に向けました。そして、月のクレーターや土星の環、木星の衛星、太陽黒点など、また、天の川が星の集まりであることなど、さまざまな大発見をなしとげました。金星の満ち欠けの発見とその観測結果は、コペルニクスの地動説の実証にもつながりました。望遠鏡という素晴らしい科学の道具は、人類がそれまで知ることのできなかった宇宙の本当の姿をかいま見せてくれたのです。
望遠鏡はその後さまざまな改良と工夫が加えられ、どんどん巨大化していきました。望遠鏡が大きくなって性能が良くなればなるほど、それだけ遠くの宇宙が見えてきます。やがて人類は、「恒星が張りついた空の丸天井」という長年のイメージをついに打ち破り、「はるか広大な宇宙空間に恒星が浮かんでいる」という無限宇宙のイメージを描くことができるようになりました。望遠鏡によって、人類の宇宙観の歴史のなかで最も大きな大転換がもたらされたのです。
参考資料
力学的世界の創造(1979)吉仲正和(中央公論社中公新書)
文 学芸課 天文係