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物質からは色々な種類の光や放射が出ています。それら全部をまとめて「電磁波」と呼んでいます。電磁波には「波」の性質があり、その波長で性質が変わったり、呼び方が変わったりします。
一般的に温度の高い物体は、波長が短くエネルギーの高い電磁波を放出します。物体の温度が低くなるに従って、放出される電磁波の波長は長くなり、そのエネルギーが低くなります。波長を変えて宇宙を見ると、異なる宇宙の姿が観測できるのです。
この展示では、天の川や銀河などの波長による見え方の姿を紹介します。
【地表に届く電磁波、届かない電磁波】
宇宙から地球にやってくる電磁波は、全てが地表から観測出来るわけではありません。一部は地球の大気によって吸収されてしまいます。この地表に届く割合を地球の大気の透過率と呼び、通常0(全く届かない)から1(途中の吸収が全くない)で表わします。
例えば,X線やガンマ線、遠赤外線は、常に透過率はゼロです。従ってこれらの電磁波は、衛星などを使って大気圏外からしか観測することができません。20世紀後半になりロケット技術が確立されてはじめてその存在が明らかとなり、観測可能となりました。天体の観測としては地上で観測ができないので大変ですが、X線のようなエネルギーの高い電磁波が大気に吸収されるからこそ、我々は安全に地表に暮らしていられるのです。
可視光の透過率は晴天ならば1に近く、私たちはそんな「大気の窓」を通して星空を見上げています。赤外線や電波では、波長ごとに地球大気の透過率は異なります。また、気象条件によっても地球大気の透過率は変動します。天文学者は、1に近い高い透過率を求めて、晴天率の高い場所や,空気の薄い高地(その極端なところが宇宙)に天文台を作って、観測をするのです。
参考資料
シリーズ現代の天文学15 宇宙の観測I - 光・赤外天文学(2007)家正則他編(日本評論社)
文 学芸課 天文係