科学館を利用する > 展示ガイド > 展示フロアマップ > 月の満ち欠け
月は地球の周りを公転する唯一の衛星です。夜空を明るく照らすその姿は、私たちにとってとても貴重なもので、周期的な満ち欠けの様子から、暦の基準となるなど、とても身近な存在でした。月は、太陽の光に照らされているので、月全体の半分がつねに明るくなっています。さらに、月は地球のまわりを公転しているので、月をどの方向から見るかによって形が変わっていくように見えます。新月から上弦の月、満月、下弦の月と少しずつ形を変えながら、ほぼひと月(約29.5日)でもとの姿に戻ります。
この展示では月周回衛星「かぐや」のデータに基づいた回転月球儀と、それに連動した地球と月の模型で、月の満ち欠けを紹介します。
【月の呼び方について】
月には、昔から様々な呼び名が付けられています。旧暦1日の月を「新月」、旧暦3日の月を「三日月」、旧暦15日の月を「十五夜の月」と呼び、十五夜の月は満月になることが多くなります。また、旧暦16日の月を「十六夜(いざよい)の月」と呼びます。「いざよい」とは「なかなか進まない」という意味で、満月よりも月の出が遅くなることから、待っていてもなかなか出てこない様子を表しました。さらに旧暦17日の月は、「立待ちの月」と呼び、立って待っているとそのうちに出てくるという意味が付けられています。旧暦18日の月は、「居待ち(いまち)の月」と呼び、座って待っているとそのうちに出てくるという意味です。旧暦19日の月は、「寝待ちの月」と呼び、寝ながら待っているとそのうちに出てくるという意味です。旧暦20日の月は、「更待ち(ふけまち)の月」と呼び、さらに待っているとそのうちに出てくるという意味です。「有明の月」とは、夜明けになっても、まだ見えている月のことを指し、十六夜月よりも後の月を指します。
【月はどうやって生まれたのか】
月がどうやって生まれたのか、いくつかの説が考えられています。地球の一部がちぎれて月になったという「親子説」や、地球と同時にできたという「ふたご説」、太陽系のほかの場所でできたものを地球がつかまえたという「捕獲説」などです。これらは、月の特徴の一部を説明することはできますが、別の特徴は説明できないなどの欠点ももっています。現在、もっとも有力な説は「巨大衝突説」です。これは、地球ができたころに、太陽系に数多く存在した火星ほどの大きさの天体のひとつが、地球に衝突し、大量の物質が周囲に飛び散り、それらが冷えて固まり、衝突・合体を繰り返した結果、月が出来たと考えられています。
参考資料
月のきほん(2006)白尾元理(誠文堂新光社)
図解 月の神秘−伝説から科学まで(1999)野本陽代(PHP研究所)
小学館の図鑑・NEO 宇宙(2004)小学館(小学館)
月面ウォッチング(1997)A.ルークル/山田卓(地人書館)
文 学芸課 天文係