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酸素の発生 縞状鉄鉱層・ストロマトライト

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展示作品の狙い

 酸素がある大気は、地球特有のものです。酸素は、生物がつくりだしたものです。酸素が地球上にできたことを示す証拠としてシンボリックに展示しています。

知識プラスワン


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 赤茶けた縞模様の大きな石。いったいこれは何でしょうか?この石は「縞状鉄鉱層」(写真)といいます。太古の昔の植物の光合成の痕跡です。
 酸素が発生し始めたのは、今から27から30億年ほど前と言われます。当時の海には大量の鉄分が溶け込んでいました。そこへ、光合成を行う細菌の一種(シアノバクテリア)が現れたのですから、さあたいへん。酸素が出てきてこんにちは、鉄さんいっしょになりましょうとばかりに、酸化鉄となって海底に沈殿します。こうして、縞状鉄鉱層がつくられました。縞状鉄鉱層は、鉄鉱石として大量に採掘されています。オーストラリアやカナダなどで多く産出しますが、見渡す限りの原野がすべて縞状鉄鉱層であるほどです。それは、そこが太古の昔、海であり、光合成により酸素が海に放出された証拠なのです。
 この縞状鉄鉱層を見ていて不思議に思うのはその縞模様ではないでしょうか。縞模様がどのようにしてできたのかということははっきりわかっていません。酸化鉄がたくさん沈殿する時期と砂粒がたくさん沈殿する時期と交互にあった、要するに季節変化があったと考えることができますが、証拠はありません。また、ほぼ等間隔で小石を含む層ができていることも不思議です。みなさんも、この縞模様から27億年前の海底で起こったことを想像してみてください。
 さて、シアノバクテリアの住処あるいはコロニーと言えるのが、ストロマトライトです。水中に浮遊している砂粒などを取り込んだり、石灰分で固めたりして、だんだん大きくなります。ストロマトライトの縞模様は、こうしてできた「年輪」のようなものです。シアノバクテリア自体は、ストロマトライトの表面に住んでいます。
 ここに展示したような岩石が、本当に小さな生物が長い時間をかけて作ったものだということだけでも、地球の歴史を感じずにはいられません。

 


【 参考資料 】

協力
東京工業大学 丸山茂徳氏
参考資料
成長する岩石ストロマトライト ニュートン1999年2号(ニュートンプレス)
全地球史はどこまで解明されたか(1998年)科学68巻10号丸山茂徳(岩波書店)
縞々学(1995年)川上紳一(東京大学出版会)
46億年地球は何をしてきたのか(1993年)丸山茂徳(岩波書店)
生命と地球の共進化(2000年)川上紳一(日本放送出版協会)
文 学芸員 西本昌司

 

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