科学館を利用する > 展示ガイド > 展示フロアマップ > 対流がつくる模様
平らな容器にシリコンオイルとアルミニウムの粉を入れ、底をヒーターで温めると同時に上の方はクーラーで冷やしています。上から見てみると、底であたためられたシリコンオイルが対流によって上昇し、上で冷やされて沈んでいく様子が、アルミニウムの粉のうごきで観察できます。このような対流をベナール=レイリー対流と呼んでいます。また、容器内のシリコンオイル表面に、風を起こして筋状の対流にしたり、シリコンオイルをかきまぜて対流の変化を見ることもできます。
とにかく眺めてみてください。上から見ていると容器が直径数cmの「細胞」にわかれていきます。この「細胞」をよく観察してみましょう。中心付近は、容器の底からのシリコンオイルがわきだし、それが「細胞」の周辺で底へ向かって沈んでいくのがわかります。
容器の底は平らになっていて、ヒーターでまんべんなく温めるようになっています。温められたシリコンオイルは軽くなり対流が起こるのですが、このときなぜか浮き上がっていくところと沈み込むところができます。その結果、沈み込むところを境目として、写真で見られるような「細胞」が見えるのです。この「細胞」は、ずっと安定した形を保っているわけではなく、長い間見ていると形や大きさが変わっていくのもわかります。
この不思議な対流現象は、研究したベナールとレイリーという2人の研究者の名前を取って「ベナール=レイリー型対流」または単に「ベナール対流」と呼ばれています。
ベナール対流は、もっと身近には空に浮かぶ雲に現れています。太陽の光が地上を温めると、その温まった地上がすぐ上の空気を温め、上空の空気よりも軽くなります。そこで対流が起こるわけですが、海の上のように広い範囲で空気の温まりかたが均一であっても、やはり空気が上昇するところと下降するところができます。空気が上昇するところには上空に雲ができますが、まさにこれはベナール対流の「細胞」と同じように、雲がならぶわけです。冬の日本海などに現れますので、今度気象衛星ひまわりの画像を見かけたら注意してみてください。
参考資料
気象ハンドブック(1995年)朝倉正他編(朝倉書店)
気象科学事典(1998年)日本気象学会編(東京書籍)
絵と文 学芸員 小塩哲朗