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タ焼けや朝焼けはなぜ赤くなるの、空はなぜ青いのか視覚的に理解していただく展示です。
この装置で、光源ランプは太陽、筒は大気だと考えてください。
まず、もともとの光源(太陽)の色を確認します。展示物手前のレバーを手前に引くと、光源は白色光であることが確認できます。
次に、レバーを押しこんで、光が筒の中を進むようにします。筒の中の色に注目してください。光が筒の中を進むにつれて、青色からしだいに赤味が増していくことがわかります。この色の変化は、大気中を通過する距離が長くなるにつれて、空の色がどのように変化するかを示しています。陽が傾いてくると、太陽光が大気の中を通過する距離がだんだん長くなるので(図)、青い空がしだいにタ焼けや朝焼けになるのです。そして、筒(大気)を通過してきた光を見てみましょう。赤い光となっています。つまり、タ日や朝日は、大気中を長い距離通過することで赤くなるのです。
この筒の中には、水とアクリルエマルジョン(粒子径0.09μm)という非常に細かい微粒子を入れてあります。この微粒子に光が当たって「散乱」し、色が付いて見えます。もし、光が散乱されなければ、筒の中は透明なままでしょう。
光はいろいろな色の光の集まりですが、微粒子があると、赤っぽい光(波長が長い光)ほど直進しやすく、青っぽい光(波長が短い光)ほど散乱しやすいのです。筒の中で青い光は散乱され、最終的に、筒から出てきた光は散乱されずに直進できた赤い光になるというわけです。では、どうして、赤い光は直進して、青い光は散乱してしまうのでしょうか。それは、赤色の光と青色の光の波長の違いが原因です。海の中に浮かぶボートを想像してください。波長が長いと、その波はボートを揺らしつつも、そのまま進んでいきます。しかし、波長が短い波はボートにぶつかって反射してしまいます。つまり、波長の長い光ほど、微粒子の影響が少なくなるのです。
実際の大気で、この微粒子にあたるのが、酸素や窒素の分子、細かい水滴やチリなどです。もし、これらの微粒子がいっさいなかったら、昼でも空には暗黒の宇宙と星空が広がっているでしょう。真っ赤に燃えるようなタ焼けや朝焼けに感動したり、澄み切った青空を見てすっきりとした気分になったりするのも、そして私たちが存在していることも、みんな地球に空気があるからなのです。そう思うと、本当に不思議ではありませんか。
参考資料
気象ハンドブック(1995年)朝倉正他編(朝倉書店)
気象科学事典(1998年)日本気象学会編(東京書籍)
絵と文 学芸員 小塩哲朗