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名古屋を代表とする都市地域では、都市ならではの機能が整備されています。ふだん生活しているときには気がつかない、そういった機能は、長い年月と人々の大変な努力によって築き上げられてきたものです。
この展示品では、そのような機能のうち、とくに目につきにくい、地下の施設について、写真や実物を利用して紹介・解説しています。
□都市の地下
都市とは、農業よりも商工業が発達し人口が集中している場所であるとされています。人がたくさんいれば、当然道路、鉄道、建物や公園などが必要で、土地に余裕はなくなってしまいます。そこで、都市では地下を利用するようになりました。
□共同溝
水道管、ガス管、電気や電話などのケーブルを引くための地下のトンネルのことを共同溝といいます。共同溝は、人が中に入って作業ができるような大きさにしてあります。これらの管やケーブルを地上ではなく地下にすることは、次のような利点があります。
(1)線や管を増やしたり修理したりするたびに道路を掘り返さなくてもいい。
ただ地面に埋めるだけだと、道路を掘り返さないと作業できず、お金もかかるうえ交通のじゃまになって渋滞が起きてしまいます。 共同溝は大きなトンネルになっていますから、中で作業ができます。
(2)防災の役に立つ
電柱を使っていると、地震のときに倒れたりして線が切れてしまいます。切れた線そのものも危険です。また、何か問題が起こったときも道路を掘り返すことなく、すばやく復旧できます。
(3)安全の確保
歩道上に電柱があると、道路標識や信号が見えにくかったり通行のじゃまになったりします。地中に埋めれば電柱をなくすことができ、安全に通行できる歩道となります。
(4)都市の美観
電柱が立ち並び、電線がたれさがっている風景はあまり美しいものではないとされています。共同溝を使えば、空がすっきりするというわけです。
(5)地下の有効利用
誰も使っていない地下を利用することで、土地の余裕のない都市での空間を有効に利用できます。
(6)経済的
上下水道、電気、通信などを別々に埋めたりして整備すると、それぞれにお金がかかってしまいます。共同溝として、大きなトンネル1本を作ることで、お金が節約できます。
□著者 学芸員 小塩哲朗