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人間は、人間だけで生活していくことはできません。ほかの多くの生き物と一緒でなければ、地球上でやっていくことはできないのです。多くの人は、このことを忘れがちですが、身近な庭を考えてみましょう。庭では、植物と動物が互いにかかわりあっているところを見ることができます。
この展示品では、畑や池のある庭を再現し、地下を含めた庭で、いったいどのような生き物たちがいて、どのように生活しているのかについて紹介・解説をしています。
□ミミズのはたらき
この展示では、ミミズが隠れたテーマの一つとなっています。ミミズは小さな生き物で、一匹のミミズにできることなど小さなことでしかないように思えます。しかし、そのミミズのおかげで豊かな土壌が作られているのです。
□土壌をつくる
ミミズは、落ち葉を食べてフンにします。このフンが土となり植物の栄養となります。もしもミミズがいなかったら落ち葉はなかなか分解されず、土ができません。ミミズこそが土を作っているわけです。しかし、このような小さな生き物が、地球上に広がる森林での土づくりの主役であるなどと、ちょっと想像できません。それを科学的に考証し論文にしたのがダーウィンその人なのです。
□遺跡はなぜ埋まる?
ダーウィンはミミズについて、観察から始めて徹底的に研究を行いました。ミミズは土の中にトンネルを掘って住んでいますが、ダーウィンは実際にミミズを飼ってみて、どのように落ち葉をトンネルに引き込むのか、どれくらいの数のミミズがいるのか、またミミズの体の構造はどうなっているのか、光や音は感じるのか、などについて徹底的に調べました。その結果、この小さな生き物が土をつくりつづけるおかげで、昔地上にあった建物や石が徐々に埋まっていく、ということを見いだしたのです。
□進化論とミミズ
小さなできごとでも、たくさんの数のミミズが毎日繰り返して起こすことで、大きなことが成し遂げられていくわけです。これは実は、進化論に通じるものです。少しずつの突然変異の積み重ねで、やがて新しい種が生まれる、というのが進化論です。ダーウィンはミミズの本を、その最晩年に書いたそうです。ミミズの本には、進化論を論じるものではないのですが、ダーウィンの考え方には進化論が大きく根付いている、といえるのではないでしょうか。
□参考資料
ミミズと土(1994)チャールズ・ダーウィン(平凡社)
□著者 学芸員 小塩哲朗