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また、試験管を365本ならべ、過去1年間の降水量を表示しています。
【降水量】
降水量の単位はミリであらわします。雨が降ったあと、どこにも流れていかなければどのくらいの深さになったか、を測るのです。たとえば1時間に1ミリの雨と言ってもたいしたことはないような気がします。では、白川公園に1ミリの雨が降ったときの水の量を計算してみましよう。
白川公園の面積×水の深さ=水の量
82,263 m2 ×1 mm(0.001 m)=82,263 m3
水1 m3は1トンですから、なんと82トンもの水です。
名古屋市全体(面積約326 km2)では
326 km2×1 mm=(326×1000m×1000m)×0.001m=32万6千m3
これは学校のプール1100杯近くになります。「ミリ」と言われるとたいして多くはないようですが、たった1ミリでも大変な量の水になるのです。これが下水管や川に流れ込むのですから、一時間に数十ミリなどという猛烈な豪雨のときに洪水になるのもうなずける話ですね。
【名古屋地方気象台】
各都府県に1つずつ地方気象台があります(ただし北海道には7つ、沖縄県には4つあります)。名古屋地方気象台の所在地は千種区日和町で、住宅街となっている高台のてっぺんです。実際に行ってみればわかりますが緑が多く、高台のため風通しもよい場所です。(写真)天気予報やニュースなどの、いわゆる「名古屋の」気温・湿度・風向・風速などはこの名古屋地方気象台で測っているため、人々の住んでいる場所によっては実感と違うことがあります。
名古屋市科学館が隣接するような市街地では、道路がアスファルトやコンクリートに覆われており、下水道も発達しているので、雨が降っても水は地表面にとどまらずすぐに流れていってしまいます。またもともとあった河川や池なども、埋め立てられたり地下式のものになったりしています。気温が多少上がっても地表面に水分があれば、それが蒸発していくことで気温が下がるのですが、都市には蒸発できる水分が少なくなっているのです。また、コンクリートが多く使われることなどによって、太陽からの光や熱を強く反射してしまいます。こうしたことから、都市では緑の多い地域にくらべて気温が高くなってしまいます。これは特に真夏などに実感できるのではないでしょうか。
このような現象を、「ヒートアイランド」と呼んでいます。まわりより気温が高い場所が、まるで島(英語でアイランド)のように見えるので熱(ヒート)の島(アイランド)と呼ぶわけです。ですからヒートアイランド現象は、夏や昼間だけのことではなく、冬や夜間にも起こります。また、冬や夜間の方が強いことがわかっています。
□参考資料
気象ハンドブック(1995年)朝倉正他(朝倉書店)
気象科学事典(1998年)気象学会編(東京書籍)
理科年表(2000年)国立天文台編(丸善)
□著者 学芸員 小塩哲朗