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選んだテーマの3択クイズに答えると正解と簡単な解説がモニタに映し出され、さらに詳しい解説も見ることができます。最後に評価も表示されます。
テーマは3つです。血液や呼吸・循環の少し高度なクイズにチャレンジしてみてください。
【免疫とワクチンって?】
私たちの体を守る「免疫(めんえき)」は自分とは違うもの(異物)を攻撃するしくみです。
白血球の仲間は一度出会った異物の形を覚えていて、2度目に同じ異物に出会うとより速く強く反応します。これを利用したのがワクチン(毒性を弱めたり、一部だけにしたりした異物)で、体内に入れて、次に異物がやってきたときに速く強くおさえ病気を予防するものです。
もっとも、抗原の形が変わり記憶したものと違うと、2度目の反応が弱くなることがあります。たびたび形を変える抗原(たとえばインフルエンザウィルスなど)に対しては、ワクチンを作っても万全ではありません。
【いろいろな異物に合った抗体が作られる】
白血球のうち「Bリンパ球」は異物を攻撃するY字型の物質「抗体」を作り出します。
抗体は免疫グロブリン(イムノグロブリン)というタンパク質の一種で、I gと略記します。
異物(この場合「抗原」といいます)にくっつくことで、はたらきをおさえたり、他の細胞が攻撃する目印となったりします。
抗体のY字型の先の形は大変種類が多く、ありとあらゆる種類の抗原に対して形の合う抗体が作られます。
なお、決まった抗原だけにくっつく抗体の性質は、微量な物質の測定などにも応用されています。
【日本人初のノーベル生理学・医学賞受賞者 利根川進】
ありとあらゆる種類の抗原に対してそれぞれ形の合う抗体が作られるのは、設計図である抗体の遺伝子にそれだけ多くの種類があるからです。小さなBリンパ球に全部入れるには抗体の遺伝子の数が多すぎます。
そのなぞを解き明かしたのは、利根川進(とねがわすすむ)博士でした。
Bリンパ球のもとになる未熟な細胞の段階では、どの細胞でも抗体の遺伝子の元は1冊の本のコピーのように同じです。しかし、成熟したBリンパ球では、抗体遺伝子が元よりも長さが短くなり、設計図の情報もBリンパ球ごとに違い、同じものがありません。どうやってこのように種類が増えたのでしょうか。
そのわけは、元の遺伝子の複数の場所から短い一部だけが残って組み合わせられているからでした。
まるでいくつかの章に分かれた1冊の本をコピーするときに全ページでなく、各章から1ページずつを抜き取って組み直し、薄い本を作るようなしくみです。
各章からどのページを使うかの組み合わせにより、薄い本の内容は何パターンもできます。
当時、元の細胞からずっと変わらないと思われていた遺伝子が、長さも内容も編集されることが明らかになり、利根川博士は日本人として初めてノーベル賞の生理学・医学賞を受賞しました(1987年)。
Newton別冊 体の科学知識 体質編 (2018年) ニュートンプレス
人体のふしぎな話 365 (2014年) 坂井建雄 (ナツメ社)
改訂版 フォトサイエンス生物図録 (2007年) 数研出版
解剖生理を面白く学ぶ (2008年) 増田敦子(医学芸術社)
「免疫研究最前線」生物の科学 遺伝 (2016年11月号)
大自然のふしぎ 人体の図詳図鑑(1994年)(学習研究社)
からだと免疫のしくみ(1996年)上野川修一(日本実業出版社)
精神と物質(1990年)立花隆・利根川進(文藝春秋)
驚異の小宇宙・人体 6 生命を守る — 免疫(1989年)NHK取材班(日本放送出版協会)
imidas1991別冊 人体アトラス(集英社)
文:学芸員 堀内智子