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生物学の実験や教育の始めの一歩は、生きものを観察することから始まります。そのために実験室でも育てやすく、増やしやすい動植物が選ばれてきて、研究室で活躍しています。ところが、医療など生命科学のニュースや教科書でいろいろな生物が出てきますが、研究者ではない方々が、実際にその生物を見る機会はなかなかないと思います。そこで、この「生きものギャラリー」では、実験生物、教材生物、発光生物などの実物を20種あまり、飼育あるいは栽培培養して展示しています。私たちのくらしを支える科学技術や最新の研究そして生物学の学習は、このような生物たちが支えているのです。小さい生きものたちですが、サイズ、形、行動などを観察してみてください。研究者も使っている生物たちですから、あなたも新しいなぞを発見するかもしれません。(ほ乳類、鳥類、は虫類はいません。生きているので、毎日展示状況が変わります。ご了承ください。)
この生きものギャラリーには、つぎの4つのコーナーがあります。
[ボトルガーデン]
小さな生物を透明容器に入れて展示しています。虫眼鏡も用意してあるので、拡大して観察してください。
[イングの展示]
生きものの動き、成長などをコマ落とし撮影(インターバル撮影)した映像を 時間のスケールを短縮して,上映しています。横の大きな丸窓の奥では撮影もできます。動かないと思われている植物でも、時間のスケールを縮めてみるとずいぶん動いていることがわかります。
[8つの丸窓]
両生類のアフリカツメガエル、小型魚類ゼブラフィッシュ、カイコガ、モデル植物の代表格シロイヌナズナなど有名なモデル生物を展示しています。モデル生物には、研究室でも育てやすく、世代交代の期間が短く、いろいろな生命現象が観察しやすい生物が選ばれてきました。世界中の多くの研究者が同じ生物を使って研究しているので、一生のライフサイクルや今では、遺伝子の働きやゲノムもよく研究されています。
[光る生きものたち]
発光する生物は、植物をのぞき、バクテリアから魚類まで見つかっています。光る能力は、人為的なものではなく、長い年月をかけ進化の過程で身につけたものです。発光のしくみには、体内で発光物質を作るものと発光バクテリアを培養する器官を体内に持つ生物がいます。ここでは、魚類、昆虫、キノコ、発光バクテリアなど光る状態で常時展示しています。多様な発光生物種の展示は、全国的に見ても珍しいコーナーとなっています。毎日入れ替えたり(発光バクテリアやヤコウタケ)、昼夜逆転して、昼間を夜と思わせたりして(ホタルの場合)、本物の生物発光を観察できるようにしています。光る瞬間を観察できたらラッキーです。何度ものぞいてみてください。
参考資料
ケイン基礎生物学(2012)M.ケイン ら(株式会社東京化学同人)
研究をささえるモデル生物(2009)吉川寛・堀寛(株式会社化学同人)
文 学芸員 尾坂知江子