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展示ガイド

生命ラボ

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展示作品の狙い

自分で実験をしてみたい、顕微鏡を使ってみたいな・・・。このような要望にお応えして今までの実験演示形式から、観覧者の皆さんが、自分の頭と手を使って、20分間で自ら実験や観察を体験できるコーナーに生まれ変わりました。ここには、9組18名の方が座って実験できる机と椅子、そして生物顕微鏡、実体顕微鏡と生物のミクロの観察には欠かせない走査型電子顕微鏡を備えています。毎日開催する生命科学に関しての実験のほか、走査型電子顕微鏡も使った観察会や特別イベントも開催しています。実験の内容に合わせて、必要な道具や薬品試料は当館で準備してありますから、手ぶらで参加できます。事前申し込みの必要はなく,先着順です。ぜひ生命科学の実験,観察に挑戦してみてください。(実験テーマや開催時間については、見学ガイドや科学館ホームページなどで確認してください。)


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知識プラスワン

生物学の発展は、観察する道具や分析機器の発達、モデル生物の選定・開発が支えています。ここでは、生命ラボにもある走査型電子顕微鏡について紹介しましょう。
 私たちの眼で見ることができるのは、およそ0.2mmぐらいまでです。それよりも細かい生物や細胞の形態を観察するためには顕微鏡という道具が必要です。16世紀末オランダのヤンセン親子がガラス製のレンズを組み合わせて顕微鏡を発明して以来、光のあて方やレンズ、試料作りの方法などが改良されてきました。しかし、光学顕微鏡で見える大きさは、約0.2μmぐらいが限界です。そこで、光の代わりに電子線を使って観察する電子顕微鏡が、1930年代に登場し、1950年代には、生物学の研究者も盛んに使うようになり、細胞の研究は飛躍的に進みました。
 電子顕微鏡には、厚さ数十nmの薄い試料切片を観察する透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)と試料の表面を観察する走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)があります。
 走査型電子顕微鏡では、レンズ(ガラス製ではなく、電磁石でできている)で集められた電子線を試料にあてて、出てきた二次電子を検出器で受け止め、電子シグナルに変換し、モニター(今では、コンピューター画面)に映し出します。電子線を試料全体に当てるのではなく、細い電子線を試料表面になぞるように当てていき全体像を得るので「走査型」といわれて、試料の微細な表面構造を見るのに適しています。ただ,色は見ることができません。観察する試料の製作は、透過型に比べると比較的簡単で、小さく切り出した物を薬品を使って固定後、乾燥させます。そして、試料の表面に重金属の薄い膜を蒸着させて、電子顕微鏡で観察します。
 最近、生物の微細な構造が、テクノロジーの観点からも注目されています。たとえば、超撥水を可能にするハスの葉の表面構造や超親水性を示すカタツムリの殻の表面構造が、電子顕微鏡で研究されています。また、垂直な壁を歩くことができるヤモリの足の裏の微細な構造が、粘着テープに応用されようとしています。



【 参考資料 】

参考文献
ケイン基礎生物学(2012) M.ケイン ら(株式会社東京化学同人)
顕微鏡でびっくり!ミクロの世界大研究(2012)阿達直樹(株式会社PHP研究所)

文 学芸員 尾坂知江子

 

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