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ここには、「みつける~突然変異」「しらべる~DNA鑑定」「くみかえる~GFPメダカ」の3つのブースとひとつのトピック展示ケースがあります。
遺伝子の正体がDNA(デオキシリボ核酸)という比較的簡単な構造の物質だとわかってから、DNAのテクノロジーは、医療、犯罪捜査や農業などの分野に活用されています。そこでこの展示品では、DNAに関する実験を疑似体験することにより、DNAのしくみや応用技術に関心を持っていただくことがねらいです。DNAの分子構造を思い出しながら、チャレンジしてみてください。
ブース1:みつける~突然変異
遺伝子の研究の1つの方法は、ちょっと他とちがう特徴を持つもの(突然変異体)を見つけて、その遺伝の仕方や染色体上の位置、DNAの塩基配列やはたらきを研究していきます。この展示品では、キイロショウジョウバエの突然変異体を観察してみましょう。白い目の突然変異体はT.H.モーガン(アメリカ)が1910年に初めて発見して、染色体上の遺伝子の位置を調べるきっかけになったものです。
ブース2:しらべる~DNA鑑定
犯罪捜査、親子関係や品種を調べたりするのに、DNA鑑定法が使われます。この方法は、DNAの多型(塩基配列の個体差)の部分を比較するのです。DNA鑑定でよく使われるのがDNAフィンガープリント(指紋)法です。まず比較したい個体のDNAを取り出し、制限酵素を使って切断します。その断片をゲル電気泳動にかけると、まるでバーコードのようなバンド模様が現れます。この模様を比較することによって、個人を識別したり、親子の関係を判定します。展示品では、雑種犬の両親をDNA鑑定の方法で探してみましょう。子ども(雑種犬)のバンド模様(バーコードの位置)は、両親からもらった遺伝子DNAを反映していますから、子のそれぞれのバーが、どちらかの親の模様と一致するはずです。
ブース3:くみかえる~GFPメダカ
この展示フロアにある「遺伝子ミニラボ」では、遺伝子組み換えで作り出したGFP(緑色蛍光タンパク質)で緑色に輝くメダカを飼育展示しています。GFPは1962年に下村脩博士がオワンクラゲから発見したタンパク質で、メダカが持っていた訳ではありません。しかし、どの生物も遺伝子として同じ物質DNAのしくみを使っているので、組換えることができるのです。GFPメダカの場合、遺伝子組み換えは、マイクロインジェクション法で、針を使って直接メダカの受精卵に目的遺伝子を注入します。ここでは研究者になった気分でゲーム風にマイクロインジェクションを疑似体験してみましょう。
ケイン基礎生物学(2012)M.ケインら(東京化学同人)
生命のセントラルドグマ(2007)武村政春(講談社)
DNA誕生の謎に迫る!(2010)武村政春(ソフトバンククリエイティブ)
図解雑学DNAとRNA(1999)岡村友之(ナツメ社)
文 学芸員 尾坂知江子