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この展示品は、生命館5階常設展示室「生命のひみつ」のエンディングに当たり、4つのコーナーから構成されています。
1つ目の「ゲノムの果実」は、ゲノム(ある生物の遺伝子の全塩基配列)の研究にまつわるトピックを紹介しています。ゲノムの研究が急速に発展し、様々な分野に広がっていることに気づいてください。また背景のバイオの木々には、このフロアのキャラクター達が隠れていますので、それも見つけてくださいね。
その隣のコーナー「あなたにインタビュー」は、バイオテクノロジーに関して皆さんの意見を発表してもらうコーナーです。他の人たちの多様な意見も知って、さらに自分の考えを深めてください。
最後のコーナー「バイオトピック」「バイオギャラリー」では、主にこの地域のバイオ研究機関の研究内容や成果を紹介していきます。タイムリーに展示内容を替えていく予定です。地道なバイオ研究の芽がどのように育っていくか、見守っていきましょう。
2003年4月14日、ヒトのゲノムの解読終了が宣言されました。ヒトDNAの33億の塩基配列を読みとるには、世界中の科学者がたずさわり、13年、費用3500億円がかかったそうです。それが2005年頃から塩基配列を効率的に読み取る「次世代シーケンサー」とよばれる機器や膨大な情報を処理するコンピューターが次々に登場し、今では、わずか数週間で、それも10万円ほどのコストで1人分のゲノムが解析できるようになってきました。まさにパーソナルゲノムの時代の到来です。
自分の遺伝情報ゲノムを読み取ると何がわかってくるでしょう。病気はもちろん、身長や体格、性格、運動能力・・・といったあなたの特徴をつくりあげる「設計図」がわかるのです。ゲノムは究極の個人情報なのです。
それだけではありません。ゲノムは、自分一人のものではないのです。家族関係や「日本人のルーツは」というような人種間の関係もわかってきます。また現在では、化石からもDNAを取り出すことも可能になってきているので、2万数千年前に絶滅したヒト属の1種ネアンデルタール人との関係も研究することもできます。
さらに言えば、このDNAを使った遺伝のシステムは、地球上の生物に共通ですから、ゲノムを比較することで、どこで生物の種が分かれてきたのかといった生物の進化の道筋もわかってきます。
ゲノムって自分のものでもあり、家族や人類のもの、地球上の全生物のものなんですね。次の言葉は、この生命館5階展示室の入り口にある「ワンダーゲノム」の映像の最後に出てくる言葉です。わかっていただけたでしょうか。
「おなじでちがう ちがっておなじ 生きものの世界」
Newton 5月号特集「新・ゲノム革命」(2013) 株式会社ニュートンプレス
ケイン基礎生物学(2012)M.ケインら(株式会社東京化学同人)
学芸員 尾坂知江子