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2019年、吉野彰は、スタンリー・ウィッティンガム、ジョン・グッドイナフとともに「リチウムイオン電池の開発」でノーベル化学賞を受賞しました。
電池とは、化学反応などによって電気を取り出すことができる製品であり、使い捨ての一次電池と充電することで繰り返し使える二次電池に大きく分類されます。電話やパソコン、ビデオカメラなどの電子機器を持ち歩き、コンセントから給電せずに使用するには、この二次電池が必要不可欠であり、その小型化、軽量化、高起電力化が求められていました。
吉野彰は、特殊な炭素素材に着目し、この炭素素材を負極に、先行研究にて優位性が証明されていたコバルト酸リチウムを正極に用いたリチウムイオン電池の原型を完成させ、試作作りやユーザーワークなどを経て製品化し、その普及へと貢献しました。
現在では、スマートフォンなど私たちの生活にはなくてはならない電子機器に使用されており、今後も新たな活用法に注目が集まっています。
【受賞者紹介展示】
吉野彰の受賞紹介展示では、吉野彰の生い立ちや学生時代の出来事、また、研究者人生を紹介しています。
特にカウンターに展示している研究開発の旅では、企業人である吉野彰ならではの視点を展示に取り入れています。研究開発工程を「悪魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」という3つに分け、各工程での苦難やそれを切り抜けた工夫を体験して下さい。
【リチウムイオン電池のしくみ】
リチウムイオン電池には、吉野彰の発明がいくつも詰まっており、小型でかつ高い起電力を確保するため、その構造は非常に良く考えられています。また、その製作工程にもたくさんの工夫があります。この展示では、拡大模型を通してその構造を、動画を通してその製作工程を紹介しています。
【電極カードバトル】
リチウムイオン電池をはじめ、身の回りには様々な電池があります。これらの電池には、負極と正極、電解液などにそれぞれ異なる材料が使われており、その組み合わせによって起電力などの特性が決まっています。この展示では、ボード上の電極カードと組み合わせることで実用電池になる電極を手元のカードから選択し、できた実用電池の起電力を競い合うカードバトルが体験できます。対戦後には、組み合わせた実用電池の原理も紹介しているので、ぜひ体験してみて下さい。
リチウムイオン電池が未来を拓く 発明者・吉野彰が語る開発秘話(2016) 吉野彰(シーエムシー出版)
NHKカルチャーラジオ科学と人間 電池が起こすエネルギー革命(2017) 吉野彰(NHK出版)
理科年表2019 国立天文台編(丸善出版)