科学館を利用する > 展示ガイド > 展示フロアマップ > ふりこのすなもよう
振子の先に穴の開いた容器を下げ、そこに砂が入っています。この振子を振動させると、こぼれた砂が美しい図形を描きます。天井のヒモの固定方法に秘密があります。物理の授業で習う、振動、単振動などに関連の深い展示品です。
有名な天文学者のガリレオ・ガリレイがその昔、教会のシャンデリアが揺れるのを観察して、振子の等時性を見つけたという話が知られています。等時性とは、同じ振子なら1回の振動に要する時間はゆれの大きさには無関係で一定であるということです。言いかえると、長さだけが、振子の振動を決める因子となるのです。振子の先の重さも関係ありません。ここが重要です。
さて、展示に使った振子の構造を示したものが図1です。図2は運動の方向を立体的に示したものです。x軸の方向に振動する場合、三角形の部分は運動に関わりませんから、振子の長さはL'となります。ところが、y軸の方向の運動を考えてみますと、三角形の部分も面として全体が運動に関わりますので、振子の長さをLとしなければなりません。
つまり、x軸方向には短い振子で、周期の小さい振動が、y軸方向には長い振子で、周期の大きな振動がミックスされたものとして一つの振動ができます。この振子の先端が描く図形をリサージュの図形と呼んでいます。
では、長さの違いからどのような図形を描くことになるのか、これは三角関数の合成という数学的手法で示すことができます。大学の理工系学部に進学すると、この計算に取り組みます。自信のある人はチャレンジしてみてください。
参考資料
理系のための物理(1985年)大槻義彦(培風館)
絵と文 学芸員 馬渕浩一