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テーブルの上の箱の中に、胴体のない首だけになってしまった友だちの姿が…。にこにこ笑っているところをみると、どうやら無事のようですが、いったいどうなっているのでしょう。
「なぜ?」と自分自身で考えることを大切にして、以下の文を読む前にトリックを見破ってください。ヒントは鏡です。
なおこの展示は、旧理工館で「消える胴体」という名前で展示していたものです。
【展示品のトリック】
テーブルの下には何もないように見えますが、実は図1のように、テーブルの脚の間には2枚の鏡が立てられています。観客は、テーブルの後ろの壁を見ているつもりですが、本当は鏡にうつった横の壁を見ていることなります。このため、テーブルの下には何もなく、人間の胴体が消えてしまったように見えるのです。
光が反射するときには、入射角と反射角が等しいことを考えて、鏡がうまく配置されています。
【鏡にうつる像は左右反対になるのに、なぜ上下反対にならないのですか?】
鏡にうつる像は、「左右反対で上下はそのまま」、あるいは「上下反対で左右そのまま」のどちらかになります。つまり、上下反対になる場合もあるわけです。
例えば、円を4色にぬりわけたものを、鏡にうつす場合を考えましょう。(図2参照)
(1)は円の裏を見ています。こちらに表をむけましょう。
(2)のように円をひっくり返して、(1)の鏡の像と比べてください。「上下反対で左右そのまま」です。
(3)のように円板をひっくり返すときは、「左右反対で上下はそのまま」です。
鏡にうつった像が左右だけ反対になると思ってしまうのは、心理的な問題です。私たちは、自分自身と鏡の像とを比べる場合、(3)の考え方をしているのです。少し頭を柔らかくして(2)のように考えてみましょう。
参考資料
物理質問箱はて、なぜ、どうして?(1976) 都築卓司 他(講談社)
物理トリック=だまされまいぞ!(1981) 都築卓司(講談社)
文 学芸員 石田恵子