科学館を利用する > 展示ガイド > 展示フロアマップ > ぶくぶくタンク・ポコポコタンク
地表の水は蒸発して水蒸気となり、上昇し上空で雲をつくります。雲はやがて雨となって地上にもどり、海に注ぎます。水は地球上で循環しているのです。「水のひろば」はこの大きな水の循環と水の性質について、さまざまな実験を通して知識を深めていただくためのものです。
ここでは「うみのステージ」の2つの展示を解説します。あわの性質について調べます。
<ぶくぶくタンク>
円筒形の水槽にボールが浮かんでいます。レバーを動かしてたくさんの泡を発生させると、ボールが沈み始めます。どうしてこうなるのでしょうか。
まず、ボールが水に浮かぶ条件を考えてみましょう。ボールが水に浮かんでいるとき、水面の下に沈んでいる部分があります。その部分が浮力という力を受けてボールを浮かばせています。浮力の大きさは、沈んだ部分と同じ体積の水の重さと同じです。だから、沈んでいる部分の水の重さとボールの重さを比べて、ボールの方が軽ければボールは浮きます。逆に重ければ、ボールは沈みます。
では、泡が発生するとボールが沈む理由を考えてみましょう。たくさんの泡ができると、水面の高さが上がります。水面が上がるということは、水槽の中の水の体積が増えたことになります。しかし、水の重さは変わらないので、水の密度が小さくなります。すると、ボールと同じ体積の水の重さが軽くなります。軽くなると浮力も小さくなります。ボールは泡がないときにちょうど浮くようになっているので、浮力が少しでも小さくなると、浮かんでいられずに沈んでしまうのです。
<ポコポコタンク>
水槽の底から空気を送って、泡を発生させて、その泡が上昇する様子を観察する実験装置です。
空気の送り方を変えると、いろいろな大きさの泡を作ることができます。異なる大きさの泡を作って、泡の大きさによって上昇する速さがどう変わるかを観察してみましょう。大きな泡の方が速く上昇することがわかると思います。
なぜ大きな泡は速く上昇するのでしょうか?泡が上昇するのは、泡に浮力という上向きの力が働くからです。浮力は、泡の体積と同じ体積の水の重さと同じ力になります。泡は全部が水に沈んでいるので、泡の体積分の水の重さが浮力になります。泡を球と仮定すると、体積は直径の3乗に比例します。つまり、泡の直径が大きくなると、浮力が急激に増します。
一方、泡が上昇するときには水の抵抗を受けます。その抵抗の力は、泡の断面積によって決まりますので、抵抗の力は直径の2乗に比例します。
上昇する力は直径の3乗に比例し、上昇に抵抗する力は直径の2乗に比例するので、上昇する力と抵抗する力の差は直径が大きくなるほど上昇する力の方が大きくなります。その結果として、大きな泡ほど上昇する速度が速くなるのです。
なお、泡がゆっくり上昇するのを観察できるように、水槽の中身は水ではなく、抵抗の大きなシリコンオイルが入っています。
文 学芸員 山田吉孝