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光や電波、赤外線、X線などは全て同じ仲間です。まとめて電磁波と呼ばれます。電磁波は波の性質を持っていて、波長の違いで電波であるとか紫外線であるとかに分けられます。この展示ではそれぞれの特徴について知ってもらいます。
電磁波は波長の長い順に、電波・赤外線・可視光線(光)・紫外線・X線・ガンマ線と呼ばれます。
【電波】
電波はテレビ、ラジオ、携帯電話など身近な所で用いられています。電波の存在は1864年にイギリスの物理学者マクスウェルが導きだした方程式で予言されました。その方程式は、光の本質は電磁波であることを示していて、その後の物理学を大きく発展させる基礎となりました。予言された電磁波は1888年にドイツの物理学者ヘルツが実験で存在を証明しました。その実験がどのようなものであったかは、展示品で見ることができます。
波長が0.1mmより長いものを一般に電波と呼びますが、赤外線との境界は明確なものではありません。
【赤外線】
テレビのリモコンは赤外線によってテレビと通信しています。携帯電話のカメラやデジタルカメラは目では見えない赤外線を感知するので、 リモコンの先端をそれらで見ると光っているのが分かります。
太陽の光をプリズムに通すと虹の七色に分かれます。赤から黄色、緑、青色と分かれるのですが、赤色の外側に温度計を置くと、温度が上昇するのが分かります。そこは光が来ていないように見えるのですが、温度が上がることから何らかの光が来ていると考えることができます。そうやって、1800年にドイツの天文学者ハーシェルによって赤外線は発見されました。
波長がおよそ800nmから1mmくらいまでを赤外線と呼びます。
【可視光線】
一般的に光と呼ばれるものが可視光線です。文字通り人間の目に見える光のことで、プリズムで光を分けた時の赤から青までの光のことをいいます。
波長がおよそ400nmから800nmくらいまでを可視光線と呼びます。
【紫外線】
日焼けを引き起こすものというのが、紫外線の身近なイメージです。スペクトルの赤の外に赤外線があるならば、紫の外にも何かがあるはずだと考えられて、赤外線発見の翌年の1801年に発見されました。
波長がおよそ1nmから400nmくらいまでを紫外線と呼びます。紫外線とX線の境界は明確でなく重なっています。
【X線】
エックス線と呼びます。 レントゲン写真の撮影に用いられるのがX線です。X線は身体などの物質を透過する能力が高いので、そのような撮影に用いられます。X線は、蛍光板を光らせる未知の放射線として1895年にドイツの物理学者レントゲンによって発見されました。発見したときに、どのような放射線か分からなかったので、X線と名付けられたものが現在まで使われています。1912年に同じドイツの物理学者ラウエによって、X線の回折現象が発見され、X線が電磁波であることを証明されました。レントゲンはX線の発見により、1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞しています。
波長がおよ0.001nmから10nmくらいまでをX線と呼びます。
【ガンマ線】
γ線と書きます。他の電磁波に比べて身近なものではありません。原子核や素粒子などに関連する反応で発生します。1901年にフランスの化学者ポール・ヴィラールによって発見されました。電気を帯びていない透過力の高い放射線として発見され、1903年にラザフォードによってガンマ線と命名されました。
波長が0.01nmより短いものをガンマ線と呼びます。X線とガンマ線の違いは波長でなく発生機構によって分けられます。
参考資料
視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録(2006)数研出版編集部(数研出版)
著者 文 学芸員 山田吉孝