科学館を利用する > 展示ガイド > 展示フロアマップ > 磁界のかたち
磁石の回りには磁界と呼ばれる、磁石が力をおよぼす場ができます。それを磁界と呼びます。展示品では、棒磁石のまわりの磁界がどのような形をしているのかを観察してもらいます。
中央に置いた大きな棒磁石のまわりに、多数の小さな方位磁針を敷き詰めた展示品です。棒磁石を回転させると、それにつれて方位磁針の向きが変化して、中央の棒磁石がつくる磁界の形を観察することができます。
磁石や電磁石のまわりには、磁石が力をおよぼす場がつくられています。その場は、磁界の向きと強さで表されます。展示品では磁界の強さを知ることはできませんが、方位磁針の向きで磁界の向きを知ることができます。また、N極からS極へ向かう磁界の向きをつなげたものを磁力線と呼んでいます。展示品の方位磁針がつくる模様が磁力線を表しています。
方位磁針を使うと、北がどちらの方向であるのかが分かります。これは地球が大きな磁石だからです。地球が大きな磁石になっている理由は地球内部の核に電流が流れていることによるものと考えられていて、その電流は数十億アンペアにもなります。地球の磁石が、地球の自転軸上にあれば方位磁針が指し示す方向が真北になりますが、残念ながらそのようにはなっていません。そのため、名古屋では真北から西に7度ずれた方角を方位磁針は指し示します。
地球の磁場は一定していません。方位磁針が指し示す真北や真南の磁極は少しずつ動いています。最近100年間で1000km以上移動しています。現在は方位磁針のN極が北を指し示しますが、地球の歴史の中で何度も地球のN極とS極は入れ替わっています。
【地球に磁場があるから生きていられる】
宇宙には生物にとって有害な高いエネルギーを持つ宇宙線が飛び交っています。それらが生物に当たると遺伝子に損害を与えたりします。しかし、電気を帯びた宇宙線は、地球の磁場で曲げられて地表に到達することができません。私達は地球の磁場で有害な宇宙線から守られています。また、長距離を旅する渡り烏たちは地球磁場を頼りにして方角を定めていると考えられています。
【方位磁針を発見した人】
舟を走らせるのに、陸地づたいの航海から太平洋や大西洋などの陸地が全く見えない大海原を航海するようになるためには、羅針盤の発明が必要でした。羅針盤はヨーロッパで改良され発展したものですが、そのもとは中国であると考えられています。それは針を水面に浮かせる占いや遊びから、磁力を帯びた針が南北を指し示すことに気がついたのが始まりと考えられています。
参考資料
地球の真ん中で考える(1993年)浜野洋三(岩波書店)
磁石と電気の発明発見物語(1983年)板倉聖宣(国土社)
視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録(2006)数研出版編集部(数研出版)
文 学芸員 山田吉孝