科学館を利用する > 展示ガイド > 展示フロアマップ > 直線がつくる曲面
直線を並べることで曲面ができることを紹介します。横一列に並べれば平らな面ができることは直感で分かると思います。しかし、なかには直線からできているようには見えない曲面もあります。
【双曲面】
茶筒の形に代表される円柱を、直線でつくるのは簡単です。円の周に沿って直線を縦に並べれば円柱の胴のできあがりです。
円柱の底面と上面は円の形をしています。円柱の場合、直線は上の円と下の円を真っすぐにつないでいます。次に、上の円からの直線を真下に降ろすのではなく、下の円のうち、真下から円周にそって少し回った位置に降ろします。すべての直線を同じように少しひねった位置に落とします。そうすると胴の形が変化します。中間がくびれた双曲面という形になります。できあがった形を見ると、直線で作られた面には見えません。
展示品では双曲面の形だけでなく、円柱から双曲面に変化していく動きを見ることができます。展示品の一本一本の糸を見ると、双曲面は直線からできているのが分かります。
展示品の双曲面の形は、正確には「一葉回転双曲面」といいます。
兵庫県の神戸市の港にある神戸ポートタワーがこの形をしています。真っすぐのパイプで作られていますが、全体では双曲面の形をしています。
【双曲放物面】
碁盤の目は縦と横の直線でできています。碁盤の目をゴムに置き換え、碁盤の3つの角はそのままの位置にして、1つの角だけをまっすぐ上に持ち上げるような動きをすると、平面であった碁盤の目が、曲面になります。ただし、ゴムは伸び縮みはするけれど、たるんだりせずに、ぴんと張ったまま、つまり直線のままであるという条件がつきます。
出来上がったこの面を双曲放物面といいます。展示品では平面から双曲放物面へと変化する動きを見ることができます。やはり、一本一本のゴムは直線のままであることを確かめてください。
展示品と同じ形の枠をシャボン液につけたときにできるシャボン膜も展示品と同じ双曲放物面になります。
参考資料
視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録(2006)数研出版編集部(数研出版)
日常にひそむ数理曲線(2010)佐藤雅彦(小学館)
文 学芸員 山田吉孝