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液晶

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展示作品の狙い

 「液晶」は、液晶テレビや携帯電話、パソコン、デジタル時計などの画面表示に広く使われています。みなさんもよく知っていますね。
 ところでこの「液晶」とは何なのでしょう。
 ふつうの物質は固体のときは、原子や分子が規則正しく並んだ結晶です。そして液体のときは、原子・分子の位置や向きがばらばらの不規則な状態で、流動性があります。
 ところが、例外的に、液体のような流動性をもちながら、分子が向きをそろえて並んでいるという物質があります。液体みたいな結晶みたいな変わり者、それが「液晶」です。

知識プラスワン

【液晶の発見】
 オーストリアの植物学者F・ライニッツァーは、コレステロールと安息香酸のエステル化合物を加熱すると、濁った液体になり、さらに温度を上げていくと再び透明になることに気づきました。これが液晶の発見です(1888年)。
 その後の研究により、液体と結晶の中間の状態という意味で「液晶」と名づけられました。
 液晶となる物質は数多く見つかっていますが、それらには共通点があります。分子の形が細長い棒状か平たい円盤状で、向きをそろえやすい形をしています。そして電圧や磁力などによって簡単に分子が動き、光の通し方が変化します。液晶になる物質も、冷やせば結晶の固体になりますし、高温にすると透明な液体になります。ある温度の範囲内だけ、液晶という特別な状態になります。
【温度で色が変わる液晶】
 液晶には温度によって色が変わるものがあります。「コレステリック液晶」という種類で、液晶の分子がらせん状に並び、温度に応じてある決まった色の光を反射する性質があります。イカにはコレステロールが多く、その肝臓から取り出したコレステロールを処理して液晶をつくっていました(現在は合成しています)。カードタイプの温度計(黒地に赤〜緑〜紫色の数字が現れる液晶温度計)などに利用されています。
【画面表示に使われる液晶】
 パソコンなどの画面(液晶パネル)に使われているのは、ほとんどが「ネマチック液晶」です。ネマチック液晶は棒状の分子で、分子の中に正に帯電した部分と負に帯電した部分をもっています。一方向にならんでいるネマチック液晶に電圧をかけると、その向きを変えます。
 さて、液晶パネルは、液晶を2枚の偏光板でサンドイッチした構造をしています。偏光板というのは、ある一定の向きに振動する光(偏光)しか通しません。2枚の偏光板を重ねて、片方を回転させると、明るくなったり暗くなったりします。つまり2枚の偏光板が通す光の振動の向きが同じであれば明るくなりますし、90°ずれると暗くなります。では偏光板は回転させず、その間に液晶をはさむとどうなるでしょう。液晶の分子が並ぶ向きによって、光を通す場合と通さない場合があります。電圧をかけると液晶の分子の向きも変わるので、光の通りやすさも変わります。このようにして電圧を変化させることで光の明暗がおこり、文字や画像を表示します。通した光に、赤・緑・青のフィルターをつけるとカラー映像になります。
 また偏光板を使わずコレステリック液晶を利用したカラーの「電子ペーパー」も開発されています。

 


【 参考資料 】

参考資料
読んで楽しむ身の回りの化学-有機化学-(2008) 佐藤博保(講談社)
決定版 感動する化学(2010) 日本化学会(東京書籍) 
文 学芸員 石田恵子

 

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