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原子の誕生

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展示作品の狙い

 私たちの身のまわりにある原子について、どういう構造なのか、いつどのように誕生したのかを映像で紹介しています。

知識プラスワン

【究極の微小粒子】
 「原子は、あらゆる物質を構成する究極の微小粒子である」・・・と、昔は考えられていました。しかし現在では、この原子はさらに負の電荷を帯びた小さな電子と、正の電荷を帯びた原子核から構成されていることがわかっています。さらに、この原子核は陽子と中性子に分けることができます。 そして現在のところ、陽子・中性子を構成するクォークと、電子を構成するレプトンが究極の微小粒子と考えられています。
【原子の誕生】
 およそ138億年前、ビッグバンで宇宙が誕生するのとほぼ同時に、電子や陽子、中性子が誕生しました。陽子1個は水素の原子核と同じです。その後、陽子と中性子からなるヘリウムの原子核が誕生します。 宇宙が膨張していくとともに温度が下がっていきました。約38万年後に、電子が原子核に捕らえられて原子が誕生しました。こうして水素原子、ヘリウム原子ができました。 そしてこれらが重力で集まり恒星が誕生しました。恒星の内部では核融合が始まり、次々と新しい種類の原子が誕生していきました。宇宙誕生から約4億年後のことです。原子番号26番の鉄までは、このように生成されました。 原子番号27番以上の元素がどのように生成されたかは、はっきりとわかっていませんが、重い星(太陽の10倍以上の質量をもつ星)が最後に超新星爆発をおこしたときに生成された、という説が有力です。  宇宙にばらまかれた原子は別の星の材料となり、ふたたび核融合、超新星爆発を繰り返し、それらの原子はやがて太陽系や地球、地球に住む生物の体をつくることになりました。つまり私たちは星の子といえるでしょう。
【人工元素】
 天然には存在が知られていない元素で、人工的につくりだされた元素をいいます。(ただしこの「人工元素」ということばは、学術用語ではありません。) 加速器で原子核に中性子や原子核などを衝突させ合成します。人工元素は、43番テクネチウム、61番プロメチウム、85番アスタチン、93番以上の原子番号の元素(超ウラン元素)といわれますが、天然に微量に存在していることがわかった元素もあります。人工的につくられた元素はすべて放射性元素で、放射線を放出し短時間で自然に他の元素に変わってしまいます。
【日本でつくられた新元素 113番元素】
 113番元素は、日本の研究チームが合成しました。理化学研究所のチームが、亜鉛(原子番号30)の原子核とビスマス(原子番号83)の原子核とを衝突させて融合させ、新元素113番の合成に成功したのです。2004年、2005年、2012年に合成に成功し、そして2015年にIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry 国際純正・応用化学連合)から、発見者として正式に認められ、新元素に名前をつける権利を獲得しました。これは日本初、アジア初の快挙です。2016年11月30日に、IUPACは113番元素の元素名をnihonium(ニホニウム)、元素記号をNhとすると発表しました。

 


【 参考資料 】

参考資料
「Newton別冊 完全図解周期表 第2版」(2010)  (ニュートンプレス)
「Newton別冊 すぐわかる!ビジュアル化学」(2010)  (ニュートンプレス)
「Newton別冊 イオンと元素」(2007)  (ニュートンプレス)
「よくわかる最新元素の基本と仕組み」(2007) 山口潤一郎(秀和システム)
「元素がわかる」(2008) 小野昌弘(技術評論社)
「日本大百科全書 」人工元素、放射性元素の項(1984) (小学館)
文 学芸員 石田恵子・山田吉孝

 

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