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展示ガイド

蛍光

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展示作品の狙い

 紫外線をあてると光る色(蛍光)が見える、さまざまな物を展示しています。
 紫外線は目に見えない光ですが、蛍光物質はその紫外線を吸収し、次に目に見える光(可視光)を出します。この光の色を見ています。
 蛍光物質は、蛍光灯やプラズマテレビをはじめ、私たちの身近でよく利用されています。どんなところに使われているか、展示品で確かめてみてください。意外なところにもありますよ。

知識プラスワン

【物質が自ら光る現象】
物質が自ら光る現象には、大きく分けて二つあります。
(1)高温の固体や液体から出る熱放射による光。物質の種類には無関係で、その温度に応じた光、つまり低温で赤外線、高温になるにしたがい橙色、黄色、白色、青白色に光ります。白熱灯や炎の光がその例です。
(2)物質によって特有の異なる色の光を発する場合。原子や分子の中の電子が、エネルギーを受け取って不安定な高いエネルギー状態になり(励起状態)、そのあと元のエネルギー状態(基底状態)にもどるときに、その差の余分なエネルギーを光として放出します。
 さらに(2)について、どんなエネルギーを吸収するかで分類し、そのいくつかについて具体例とともに紹介します。
 A.電気エネルギー:ネオンサイン、水銀灯、LED
 B.熱エネルギー:炎色反応 
 C.化学エネルギー:ホタルやウミホタルの光、黄リンの光、ルミノール反応、ケミカルライトスティック
 D.光エネルギー:蛍光
 
【蛍光のしくみ】 
 「蛍光」は上に書いた(2)のDにあたります。蛍光はホタル(蛍)の光とは違うのです。蛍光とは、物質が吸収したX線や紫外線や可視光など光のエネルギーを光として再び放出する現象です。
 展示品の蛍光物質は、紫外線つまり大きなエネルギーをもつ光を吸収して、それより小さなエネルギーの可視光を放出します。可視光のエネルギーもさまざまで、大きい方から順に紫>藍>青>緑>黄>橙>赤の光に相当します。それぞれの蛍光物質から出てくる光の色は、エネルギーに対応した決まった色になります。
  このように蛍光は、発する光のエネルギーが、吸収した光のエネルギーよりも小さいという特徴があります。蛍光は分子からの発光だからです。ばらばらの1個の原子とは異なり、分子では原子間の振動運動や回転運動がおきるので、吸収した光エネルギーの一部が熱のエネルギーに変わってしまうのです。
 ところで紫外線をあてるのをやめた後でも、しばらく光っているものがあります。このようにゆっくりと発光して基底状態にもどる現象は「りん光」とよばれています。
【蛍光物質の利用1〜蛍光増白剤〜】
 白い綿のシャツなどが古くなると、黄ばんできますね。白色光の中の青色の光が吸収されてしまい黄色っぽく見えるのです。そこで青い光を補う目的で、洗濯用洗剤に配合されているのが蛍光増白剤です。蛍光増白剤は太陽光の紫外線を吸収し、青色の光(蛍光)を出すことで黄ばみを打ち消します。それでシャツは真っ白に見えるようになります。
【蛍光物質の利用2〜蛍光灯〜】
 蛍光灯の管には少量の水銀の気体が入っていて、管の内側には蛍光物質が塗られています。電圧をかけると電極から電子が飛び出し、水銀の原子と衝突して紫外線を放出します。この紫外線が蛍光物質に吸収され、可視光を出します。

 


【 参考資料 】

参考資料
身近で発見 スゴイ科学 不思議な科学(2009) 吉村忠与志(技術評論社)
気になる化学の基礎知識(2009) 齋藤勝裕(技術評論社)
化学 物質と材料の基礎(1998) 井上祥平(化学同人)
ニュートン(2008年3月号)暗やみで光るスライム 佐伯平二(ニュートンプレス)
発光の物理(2000) 小林洋志 (朝倉書店) 
文 学芸員 石田恵子

 

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