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さまざまな分子と化学結合

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展示作品の狙い

 この展示では、みなさんの身近にある物質の分子模型を展示しています。分子には、原子の数が2,3個の分子もあれば数十万個の巨大分子もあります。分子の大きさ・形、グループごとの共通点と性質の関係に注目して見てください。 
 また金属結合・イオン結合・共有結合それぞれの結晶模型を展示しています。


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知識プラスワン

【分子】
 私たちのまわりにある物、そして私たち自身も、すべて「原子」からできています。この原子は1個ずつ単独で存在しているのではなく、ほかの原子と結びつき「分子」というまとまりをつくっています。
 水の分子は、水素原子2個と酸素原子1個からできています。これを水素原子と酸素原子に分解してしまうと、もう水としての性質はなくなってしまいます。原子がいくつか結合した分子の構造によって、物質としての性質が決まってくるのです。
 原子の種類はおよそ112種類ですが、複数の原子の結びつき方で、無数といえるほど多くの種類の分子ができます。この展示で紹介している分子は、そのほんの一部にすぎません。
 
展示の中から「メタン系炭化水素」を取り上げて解説します。 
【メタン系炭化水素】
 メタン系炭化水素は、石油や天然ガスにふくまれていて燃料としてよく利用されます。CnH2n+2(n=1, 2, 3…)で表される化合物です。その中から8種類の分子を展示しています。(表1) 
【メタンとプロパン】 
 炭素Cの数が多いほど、沸点(ふってん 液体が気体に変わる温度)が高くなっていくことに気づきましたか。炭素の数が多い大きな分子ほど、分子どうしに働く力、分子間力が大きくなります。それゆえ、その力をふり切って空気中へ飛び出していく、つまり気体になるのがたいへんになります。それで沸点が高くなるというわけです。
 また気体になったとき、大きな分子ほど密度が大きい、つまり重くなります。都市ガス(天然ガス)のメタンガスは空気より軽いですが、プロパンガスは空気より重く床近くにたまってしまう可能性があります。換気にはよく気をつけてください。
【ブタンとイソブタン】
 カセットガスボンベには、ブタンが入っている普通のものと、主にイソブタンが入っている冬季アウトドア用があります。上述した沸点は1気圧のときの温度で、高圧になっているボンベの中では室温でどちらも液化しています。さて、冬の屋外の温度は、ブタンの沸点マイナス0.5度近くになってしまうため、ブタンは液体のままで気体(ガス)が噴出しにくく火力が弱くなってしまいます。一方、イソブタンの沸点はマイナス12度ですから、火力が落ちず充分に使えるというわけです。ところで、どちらも炭素数が4なのに沸点がずいぶん違います。同じ炭素数のときは、枝分かれ構造の分子(イソブタンなど)の方が沸点が低くなります。展示品の分子模型で形をくらべて見てください。
【ヘプタンとイソオクタン】
 ガソリンにはいろいろな物質が混ざっています。ヘプタンとイソオクタンは、どちらもガソリンに多くふくまれ、オクタン価の基準になっている物質です。
 オクタン価とは、自動車のエンジン内でノッキングとよばれる異常燃焼の起こりにくさ(アンチノック性)を表す数値です。燃焼速度が速すぎて最もノッキングが起きやすいヘプタンを0、最も起きにくいイソオクタンを100とします。いろいろな割合のヘプタンとイソオクタンの混合物と、調べたいガソリンとを比較します。そして同じアンチノック性を示す混合物中のイソオクタンの割合(容量%)をオクタン価としています。
 展示品でこの2つ分子を比べてください。炭素数は一つ違いますが、沸点はほぼ同じす。違いは、ヘプタンが一本線状につながった構造で、イソオクタンはあちこちで枝分かれした構造だという点です。
 このように構造の違いが物質の性質と大きく関係しています。



【 参考資料 】

参考資料
高校の化学をイチからおさらいする本 有機化学編(2006)宇野正明(中経済出版)
フォトサイエンス化学図録 改訂版(2006)(数研出版)
サイエンスビュー化学総合資料 増補三訂版(2007)(実教出版)
文 学芸員 石田 恵子

 

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