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地圏−層構造

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展示作品の狙い

地球の固体部分を「地圏(ジオスフェア)」と呼びます。地圏であっても、重力によって軽い物質と重い物質が分かれる現象が起こっていることを知っていただく展示です。


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知識プラスワン

【軽いものは上、重いものは下】
 砂が入った水をかき混ぜてみましょう。そして、かき混ぜるのをやめると、砂は重たい順に沈むことにより分かれて層構造をつくります。軽いものが上、重いものが下になるというのは、重力が働いているからこそ起こる現象です。もちろん、水の中の泥や砂粒のように自由に動ける状態になければそうはいかないでしょう。
 地球の内部も、軽い物質は上、重い物質は下、という層構造になっています。すなわち、上から、大陸地殻(密度2.7g/cm3)、海洋地殻(密度3.0g/cm3)、マントル(密度3.3g/cm3)、核(密度11g/cm3)です。それぞれの層が、地球の材料物質から分かれてできたこと(分化)を意味しています。誕生して間もない頃の地球はドロドロに融けていたため、軽い物質は上に浮かび、重い物質は下に沈んでしまったのです。
 展示していあるものは、大陸地殻、海洋地殻、マントル、核、それぞれに近いと考えられる岩石または鉱物です。このような物質が、地圏を構成しており、高温高圧の環境にさらされています。
【対流する地圏】
 地球中心の温度は約6000度もあると推定されています。これほど高温なのは、まだ冷めていないからです。温めた肉まんなどを割ってみると、表面は冷めていても、中のほうはやけどするほど熱かったということがあるでしょう。それと同じことです。絶え間ない微惑星の衝突・合体の繰り返しで成長した地球は、もともと地表まで融けてしまうほど高温だったと考えられています。地球は表面から冷えてきたのですが、中はまだ熱いままというわけです。
 味噌汁がおわんの中で沸き上がるように流れているのを見たことがないでしょうか。それは「対流」が起きているのです。同じように、地球内部でも対流が起こっていると考えられています。一部をのぞいて固体ばかりの地球内部が「流れる」といわれてもピンと来ないかもしれません。しかし、叩けば割れる固体でも、長い時間にわたって力を加え続けられると、まるで粘り気のある液体のように変形する(=流動する)のです。たとえば、飴玉やキャラメルを長い時間ビンの中に放置していたらくっついてしまったり、氷河で固体の水(氷)が年に数cmから数十m程度の速さでゆっくり流れたりしています。地球内部でも、とてもゆっくりとした対流が起こっているのです。
【地球の層構造】
 対流する地圏を理解するには、物質の種類ではなく、流動しやすさ(物性)の視点で見るほうが良さそうです。この視点から分類すると、地圏は、地表から順に、リソスフェア、アセノスフェア、メソスフェア、外核(液体)、内核(固体)となります。
 リソスフェアは、厚さは100kmくらいまでの地殻と上部マントルにあたる堅くて流動しにくい部分(剛体)です。地表から眺めるといくつかに割れた板状に見えるので「プレート」と呼ばれます。アセノスフェアは上部マントルに相当し、部分的に溶けているため流動性が高いと考えられています。つまり、流動しやすいアセノスフェアの上に、かたいリソスフェアが乗っかっているので、プレート運動が起こると理解できます。



【 参考資料 】

参考資料
カラー版徹底図解 地球のしくみ (2006) 新星出版社編集部
阪口 秀・草野完也・末次大輔 編 (2008) 階層構造の科学〜宇宙・地球・生命をつなぐ新しい視点 東京大学出版会
文 学芸員 西本昌司

 

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