科学館を利用する > 展示ガイド > キーワード検索 > 「か」ではじまるキーワード > キーワード【観測】 > 市街光と星空
街の中心部では、晴れていても星が少ししか見えません。これは、都会の空気が汚れているからではなく、街路灯などの地上の灯りが上に漏れてしまい、夜空を明るく照らしているためです。空が明るくなると、星と空の明るさの違い(コントラスト)が小さくなり、星が見えにくくなります。照明に関して景観や周辺環境への配慮が十分でない状況を「光害」といい、適切に配慮した光環境を作ることによって、街中でもたくさんの星が見える可能性があるのです。
この展示では、街中で星が見えにくい原因が、夜空の明るさであることを示す実験装置と実態調査データで、市街光と星空の関係を紹介します。
【光害対策と星を見るための工夫】
光害対策とは、照明が設置されている目的を踏まえて、よりよい照明環境を作り上げることです。街路灯の場合は、上に光が漏れないような傘がついたものに取り替えることによって、街路灯周辺の必要な範囲を効率よく照らすことができます。これは電気の消費量を抑えることにもつながりますし、星空をみるためにもよりよい環境を作り出してくれます。
街中で星をよりよく見るためには、周りの灯りができるだけ目に入らないようにすることが大切です。街路灯などの周辺の灯りを木陰や手でさえぎったり、黒い紙を丸めてつくった細長い筒でさえぎったりするやり方もあります。ベランダで星をみるときには、室内の電気が外に漏れないように、カーテンを閉めたり、室内の電気を消したりします。そうして、できるだけ暗い環境の中で10〜15分程度目を慣らした状態で、夜空を見上げると、いつもよりたくさんの星が見えるでしょう。
参考資料
「市街地における「光害」の調査研究」名古屋市科学館紀要第17号(1991)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
「市街地における「光害」の調査研究〜その2〜」名古屋市科学館紀要第19号(1993)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
「市街地における「光害」の調査研究〜その3〜」名古屋市科学館紀要第20号(1994)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
「光害の調査と実態」名古屋市科学館紀要第25号(1999)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
「光害の調査・普及に関する科学館・環境局・環境庁の連携について」名古屋市科学館紀要第27号(2001)鈴木雅夫他(名古屋市科学館)
「光害の展示制作と市民参加による実態調査」名古屋市科学館紀要第30号(2004)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
「光害の展示制作と市民参加による実態調査2」名古屋市科学館紀要第31号(2005)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
「「市街光と星空」展示制作」名古屋市科学館紀要第32号(2006)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
「光害調査新手法の開発」名古屋市科学館紀要第34号(2008)毛利勝廣他(名古屋市科学館)
環境省のサイト
環境省光害対策ガイドライン http://www.env.go.jp/air/life/hikari_g/
文 学芸課天文係