科学館を利用する > 展示ガイド > キーワード検索 > 「ま」ではじまるキーワード > キーワード【またたき】 > 星のまたたき
この展示品は撤去されました。現在はご覧いただけません。
この展示物は、2023年10月で展示公開を終了しました。このページも今年度末にはなくなります。
星からやってきた光は、空気の層である大気を通過して私たちの目に届きます。空気は、温度の違いや、風が吹いたりすることによって、わずかですが密度の差が生じます。この影響で、星からの光はわずかに屈折し、揺らぎが積み重なると、星がまたたいて見えたり、近くに並んだ二つの星が一つに重なって見えたりします。この空気の揺らぎによる星の見え方の違いを「シンチレーション」といいます。星が地平線近くに移動すると、大気を通過する距離が長くなるため、星がよりまたたきやすくなります。
この展示では、星がまたたいて見える原因が、大気のゆらぎであることを示す実験装置で、星のまたたきのしくみを紹介します。
シンチレーションの影響を小さくするには?
【シンチレーションの影響の小さい場所を選ぶ】
大型望遠鏡を使って、より詳細に宇宙のしくみを調べるためには、空が暗く、シンチレーションの影響を受けにくい場所に天文台を建設する必要があります。大気の揺らぎで、星の像が1秒角程度揺らいでしまえば、望遠鏡がいくら細かな構造が見られる性能を持っていても、それよりも細かな構造が見られなくなってしまい、性能を十分に発揮できなくなってしまうからです。
そこで、大型望遠鏡の多くは、ハワイのマウナケア山をはじめとする、空気の薄い高山に建設されています。
さらに、シンチレーションの影響を受けないように、1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡をはじめ、多くの宇宙望遠鏡が宇宙空間に打ち上げられています。
【シンチレーションの影響を小さくする】
一方、地上でも、シンチレーションの影響をできるだけ小さくするための装置が開発されています。観測対象となる天体の周辺にある明るい星の揺らぎをもとに、形の変わる「可変形鏡」を使って、対象天体の揺らぎを瞬時に除去する「補償光学」という技術は、すばる望遠鏡をはじめ、多くの大型望遠鏡に採用されています。さらに、すばる望遠鏡では、周辺に明るい天体が無くても、レーザービームを照射することによって、上空90kmにあるナトリウム原子を発光させて、人工的な光源を発生させます。その光源によって、どの場所の天体でも、補償光学の技術が使えるようにつくられています。
参考資料
http://subarutelescope.org/Introduction/instrument/j_AO.html
http://subarutelescope.org/Pressrelease/2006/11/20/j_index.html
文 学芸課 天文係