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この展示室の外周は北側入口から右回りに、地球から宇宙の果てまでの天体や事象を並べています。そのスケールは、長さを10倍ずつ大きくしていくパワーズオブテン(10のべき乗)の考え方に沿っています。
北側の展示室入り口から時計回りに外周を回って、宇宙のスケールの旅にご出発ください。
【パワーズオブテン】
パワーズオブテンという英語は10のべき乗という意味です。この世界を10倍刻みで広さを変えながら見ていくという考え方を初めて映像化したのは1977年、チャールズ・イームズとレイ・イームズによって制作された“Powers of Ten”という9分弱の短編映画でした。同時に書籍としても出版され、日本語版も出ています。
21世紀に入り、イームズによって映画が作られた頃よりも、宇宙に関する知識はずいぶん増えました。たとえば2006年には、私たちの宇宙が「138億年前」に始まったことがわかりました。この展示室ではこういった最新の知見を入れた宇宙像を表現しています。
北側入り口を入ると、地球のスケールである10の8乗から目盛りがスタートします。展示室周囲の壁にはその目盛りが刻まれています。展示室の外周の展示テーブルの手前には、有名な天体のデータや写真を地球からの距離の位置に表示しています。そしてテーブルには有名な天体や宇宙の区分がタッチパネルモニターや、円形パネルで展示されています。この展示の密集度は、私たちの宇宙に対する知識の分布でもあります。分かっているところは密集し、分からないところはあいているという、ありのままの現代の宇宙像を表現しているのです。また、新しい知見が見つかったらそれを追加できる構造になっています。今から過去へも未来へも、この展示室はつながっていきます。
参考資料
パワーズ オブ テン—宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅(1983)フィリス・モリソン 、 フィリップ・モリソン著 村上 陽一郎 、 村上 公子 (翻訳) (日本経済新聞出版社)
文 学芸課 天文係