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この展示室の外周は北側入口から右回りに、地球から宇宙の果てまでの天体や事象を並べています。そのスケールは、長さを10倍ずつ大きくしていくパワーズオブテン(10のべき乗)の考え方に沿っています。
その出発点は「地球」。大型スクリーンでの地球や月の映像、磁気圏とオーロラ、隕石の種類と起源、流星を展示しています。
【流れ星の本当の数】
流星群の夜は普段の夜よりもたくさんの流れ星が見られます。ただし次々と飛び交うわけではありません。
1年を通じて最も活発な流星群は、8月中旬のペルセウス座流星群と、12月中旬のふたご座流星群です。この二つの流星群は毎年、安定して活発な活動をします。さて、その場合の流星の数を考えてみましょう。流星群同士の出現数を長年にわたって蓄積し比較するためには、条件を一定に揃える必要があります。その補正をした理想的な流星数をZHRと表記します。この条件は、1時間、快晴で、天の川が見られるくらい周囲が暗くて星空がよく見えるところで、流星群の輻射点が真上の方向にあり(真上から粒子が飛び込んでくる理想的な状態)、暗くかすかな流れ星まで、全天くまなく数え落としがないという状態です。つまり、そんなに条件が整うことはありえない理想的な条件に補正して(数を増やして)比較するのです。
もちろん比較研究目的には必要な方法ですが、この数字がそのまま見える数だと思ってはいけません。たいていは、雲も少しあるし、天の川は見えないし、輻射点が天頂に昇る前や後に見ているし、数え落としももちろんある。ということで、星が良く見える山や海に出かけたとしても、正直半分以下と考えてよいでしょう。
さらに1時間の流星数というのもくせものです。たとえば1時間に60個だったとしましょう。すると1分に1個。時計を見ながら見ていただくと、とても次々という感覚ではないと思います。さらにその1個はとってもかすかかもしれないし、自分の後ろの方向に飛んでいるかもしれません。山奥で見えるかすかな流れ星も街中では見えないでしょう。
そこで、少し考え方を変えてみましょう。流星群の夜は、次々流れ星が飛ぶのではなく、普段出会えない流星に出会える日と考えるのです。そして明るく目立つ流れ星は山奥でも街中でも同じく明るく見えます。そういった思い出に残るような流れ星に出会う確率の高いのは流星群の夜であることは間違いありません。ぜひ夜更かしして頑張ってみませんか?
参考資料
流星と流星群(1997) 長沢 工著 (地人書館)
天体観測の教科書 流星観測編(2009)Martin Beech 著・長谷川一郎+十三塾 訳(誠文堂新光社)
文 学芸課 天文係