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食べ物はどこへゆく?

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展示作品の狙い

 食べ物の絵のついたピースを皿に載せると、食べ物が消化され、養分が吸収されて不要なものが排出されるようすをアニメーションで表す体験的な展示です。
食べ物のピースは3つあり、それぞれ
・タンパク質(肉、魚、卵、豆類など)
・炭水化物(ごはん・パン・めん類など)
・脂肪(バターや油など)
を表しています。

知識プラスワン

 それぞれの食べ物が消化されて吸収されるようすはすこしずつ違います。アニメーションに現れる分子の形や大きさに注目してみてください。胃はカタカナの「ノ」の字のような向き(人によっていろいろなかたむきやカーブをしています)であること、大腸はひらがなの「の」の字のようにぐるりとおなかの中をまわっていて、水分を吸収することもわかります。
●タンパク質:約20種類のアミノ酸が長くつながった分子です。
・口から食道:かみくだかれて小さくなりますが、タンパク質の分子の大きさはそのままです。
・胃:長いタンパク質の分子が消化されて短くなります。
・小腸:膵臓から出た消化液とまざってさらに分子が短くなり、吸収されて壁から血管へ入ります。
●炭水化物:ブドウ糖を表す六角形の数に注目してください。
・口から食道:かみくだかれて小さくなり、でんぷんの分子(六角形が多数長くつながった形)が消化されて、六角形2つの麦芽糖や、六角形数個の分子となります。
・胃:分子が消化液とまざるが、分解されません。
・小腸:膵臓から出た消化液とまざってさらに分子が短くなり、吸収されて壁から血管へ入り、肝臓へ向かいます。
・肝臓:ブドウ糖が多数つながったグリコーゲンとして貯蔵され、必要に応じてまた切り離されてブドウ糖になって出ていきます。ブドウ糖は筋肉や脳に運ばれてエネルギー源として使われます。
●脂肪:グリセリンに3本の長い脂肪酸がくっついた形の分子です。
・口から食道:かみくだかれて小さくなりますが、脂肪の分子はそのままです。
・胃:分子が消化液と混ざるが、分解されません。
・胆嚢から消化液(胆汁)が出て水と混ざりやすくします(乳化)。
・小腸:膵臓から出た消化液と混ざって分子が分解され、モノグリセリドになり、小腸壁から血管ではなくリンパ管へ(このとき、また脂肪分子となります)。
【便は食べ物の残りかすだけ?】
 便の中には食べ物のかすが含まれていますが、それと同じくらいの割合で腸内細菌とその死がい、はがれおちた腸の細胞がそれぞれ含まれています。便で一番多いのは水分で、80%程度です。
【おなかの中からどこへゆく】
 小腸から吸収された養分は、肝臓で別の形に変えられたり、血管に入って運ばれたりして全身に送られます。そこで力やエネルギー、からだをつくるもとや調子をよくするために使われます。
【吸収されたらすぐ尿になるの?】
 吸収後に血液中を流れている養分は、腎臓に流れこむ血液からタンパク質や脂肪は原尿(尿のもと)には出ず、ブドウ糖も原尿にいちど出た後再吸収され、尿としては排出されないしくみになっています。尿に出てくるのはからだで使われ不要なものに変化したあとです。

 


【 参考資料 】

解剖生理を面白く学ぶ(2008年)増田敦子(医学芸術社)
Newton別冊 人体図(2015年)ニュートンプレス
驚異の小宇宙・人体 別巻2ビジュアル 人体データブック(1990年)NHK取材班(日本放送協会)
新版 たのしい理科 4年・5年・6年、理科の世界2(2015年)有馬朗人ほか(大日本図書)
改訂版 フォトサイエンス生物図録(2007年)数研出版
実物大人体図鑑 3内臓(2010年)坂井建雄(大日本印刷)
たんけん!人のからだ 5 うんこ・おしっこ・息と汗(1999年)坂井建雄(岩波書店)
からだの不思議 だれでもわかる解剖生理学(2000年)坂井建雄(メヂカルフレンド社)
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト アルコールの吸収と分解
シリーズ化の旅(2016年)NEWTON
農林水産省 知っておくと便利です。食品に含まれる成分

文 学芸員 堀内智子

 

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