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昔から親しまれてきた影絵は、手あるいは紙や木でつくられた物に光をあててシルエットを作り出す遊びです。影絵に親しむことで、光と影について理解するとともに、想像力も育てていただきたいと思います。
【いろいろなものを影絵にしてみよう】
いろいろな形のモノに光をあててシルエットを映し出してみましょう。方向を変えてみると、意外な形に見えることがあります。2次元のシルエットだけから3次元の形状を推論してみることは、空間認知力を高めるのに役に立ちそうです。
さて、スクリーンに映し出される影絵の大きさに注目してみましょう。映し出されるシルエットは、実際のものより大きくなっているはずです。光源に近づけば大きく、光源から離れれば小さくなることを確かめてみましょう。
【影絵のクリアさ】
ここでつくる影絵はとてもクリアです。しかし、家でやってみると影絵の輪郭はぼんやりしてはっきりしないことがあります。なぜでしょうか。それは、光源の大きさに違いがあるからです。光源が小さければ小さいほど、遠く離れてもくっきりした影が映ります。
影の輪郭がぼやけているようなとき、指先の影をゆっくり近づけてみると、ふたつの指がくっついていなくても、影のほうでは両指がくっついたように見えます。ある大きさを持った光源によってできる影では、まったく光が来ないところ(本影)と、そのまわりの少し光が届くところ(半影)ができます。ふたつの影が近づくと、半影どうしが重なり合った部分が濃くなってつながったように見えるのです。
【世界じゅうにある影絵芝居】
影絵をつかった芝居は、多くの国で親しまれています。日本では、手の形を組合わせることで、イヌ・ネコ・キツネなどの影を表現する「手影絵」がよく知られており、手影絵によって演じる影絵芝居があります。
インドネシアの影絵による芝居は有名で、2009年に世界無形遺産に登録されています。これは「ワヤン・クリ(Wayang kulit)」と呼ばれ、インドの叙事詩をもとにしたお話をガムランと呼ばれる音楽の演奏に合わせて見せるものです。牛の皮でつくった人形をつかって、光と影と音を調和させた不思議な世界がつくりだされています。
そのほか、タイではナン・ヤイ(Nang yai)、カンボジアではスバエク・トムと呼ばれる影絵芝居が知られています。
学芸員 西本昌司