科学館を利用する > 展示ガイド > キーワード検索 > 「り」ではじまるキーワード > キーワード【流体】 > うかぶボール・すいつくボール
展示品のねらい
スイッチを押すと空気が流れ、ボールが浮かびます。浮かんだボールは、ゆらゆら揺れても空中にとどまり落ちてきません。その秘密は、ボールの形と空気の流れにあります。この展示品は、目には見えない空気の性質を空気中に浮かぶボールの動きから学ぶことができます。
【うかぶボール】
ボールは、下から流れてくる空気を受けて浮き上がります。空気があたるところが丸いことで、当たった空気はボールの表面に沿ってなめらかに流れていき、ボールを包み込むような流れになります。下から当たる空気でボールが浮き上がっているわけですが、前後左右にふらついても落ちていかないのは、この包み込むような空気のはたらきによります。このとき、ボールの表面の空気の流れは、たまねぎに似て層をつくっています。このような流れ方を「層流」といいます(図1)。
もし、ボールに当たる空気が強すぎると「層流」はできず、はねかえったり細かなうずができたりして、きれいにボールを包み込む空気の流れができません。このため、ボールは安定して空気中に浮かぶことができません。
【すいつくボール】
ボールをかさへ近づけると、ボールはかさにすいつくように浮き上がります。空気が出ているのに、そこにすいつくのはとても不思議な現象に思えます。
これはボールに当って通り抜けていく空気が、その道筋の中で気圧が下がる部分があるからです。ボールの上の部分の気圧が下がりますから、ボールは下から大気圧で押される形になり、ボールは空気の吹き出し口にすいつくのです(図2)。
文 学芸員 小塩哲朗・山田吉孝