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モノづくり都市パノラマ

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展示作品の狙い

このパノラマで表現されているのは名古屋を参考にした架空の都市です。この都市は製造業、つまりモノづくりが盛んなことで知られています。その都市における人、モノ、エネルギーなどの流れを中心に説明しようとするものです。

知識プラスワン

<製造品出荷額No1>
愛知県は1977年以降、30年以上にわたって製造品出荷額が全国1位です。日本一モノづくりが盛んな地域といってよいでしょう。
主要工業県の工業出荷額(製造品出荷額等)の動きを見てみると、1970年代までは東京、大阪、神奈川、愛知の4都府県がトップグループでほぼ同規模でしたが、1980年代以降、大きく変化しています。東京圏、大阪圏に属する諸県(東京、埼玉、大阪、兵庫)の工業が低減傾向を辿っているのに対して、愛知県や静岡県といった自動車産業の比重の高い県では、比較的に堅調を保っているのが目立っています。このことは自動車製造が愛知のモノづくりを支えていることを示しています。
自動車産業は1980年代以降のわが国のけん引役を果たしました。その結果、他の工業県は15~20兆円のレベルにとどまっているにもかかわらず、愛知県は47.5兆円(2007年)と群を抜いて多くなっています。「ダントツ」の1位なのです。
<人の流れ>
モノづくりは雇用を生み出します。直接製造業に携わるだけでなく、製造品の運輸、製造業によるサービス業など、他の業種の発展を呼び起こす作用も見逃せません。雇用によって生み出された人の流れは、駅、空港などを拠点に生じます。
JR名古屋駅、名鉄名古屋駅、地下鉄名古屋駅の1日の平均乗降客数は、それぞれ、約115万人、約26万人、約17万人(2007~09年度のデータから集計)と大きなものになっています。JR名古屋駅の乗降客数は、第1位新宿駅の360万人には及びませんが、全国第6位と極めて大きな数になっています。
中部国際空港も大きな人の流れを生み出しています。2006年度には、国内旅客、国際旅客がそれぞれ674万人、547万人の利用がありました。これらの数には一般旅行客が含まれておりますが、ビジネス利用客が少なくないものと思われます。
<物流>
製造業の伸展は、物流、すなわちモノの流れを生み出します。生産拠点を海外に移す流れは確かに顕在化していますが、高品質なモノづくりを国内で行うことで、原料、半製品、部品、完成品などが、港や空港などを通じて、出入りします。2008年の名古屋税関における輸出額は、東京や横浜税関をおさえて全国最多の19.3兆円に及びました。
名古屋港が外国貿易によって扱う貨物量(外貿取扱貨物量)は、年間12196万トンで、国内5大港の中でも群を抜いた多さです。金額に換算すると、名古屋港の貿易額は一年間で、約12兆円にものぼります。これは、日本全体の貿易額の約10%に相当する金額になります。特に貿易黒字に注目すると、名古屋港の貿易黒字は約5.1兆円と、日本全体の貿易黒字の実に約59%を占めています。
中部地域はモノづくりが大変盛んな地域ですので、海外への製造品出荷額は全国比でも突出しています。そのほとんどが名古屋港を利用し海外へ出荷されています。そのため、名古屋港が中部地域の産業の輸出港として大変重要な役割を担っているのです。
<エネルギー>
こうしたモノづくりにはエネルギーが欠かせません。工場では省エネルギーが徹底され、また太陽光などの自然エネルギーの活用も進んでいます。CO2の排出を極力抑える姿勢はどの工場にも見ることができます。
興味深いデータがあります。中部地域では、1990年から2006年の16年間にエネルギー使用量は11.5%伸びました。これは経済発展に比較して極めて低い伸びです。この間、産業界は6.7%エネルギー消費を削減しました。一方で、民間は50%もエネルギー消費を増やしました。いかに産業界が省エネルギーを徹底したのかを示すデータだと思います。

 


【 参考資料 】

協力
名古屋鉄道株式会社
参考文献
東海経済のポイント2009(2010)中部経済産業局(中部経済産業局)
文 学芸員 馬渕浩一

 

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