科学館を利用する > 展示ガイド > キーワード検索 > 「し」ではじまるキーワード > キーワード【焦点】 > パラボラの反射
展示品は、床に置いてある大きなお椀状の形をした「パラボラ」の性質を知ってもらうのがこの展示品のねらいです。この展示品を体験すると、衛星放送のアンテナがどうしてあのような形をしているのかが理解できます。
おわんの形をしたパラボラと言われるものが、床近くに上をむけておいてあります。衛星放送を受信するアンテナもパラボラと呼ばれますが、まさにその形のもう少し大きなものになります。そのパラボラに向けて上からボールを落とすと。パラボラでボールは反射して、パラボラの中心上部に吊り下げられたカゴにあたります。パラボラのどの位置にボールを落としても、必ずカゴにあたります。まっすぐに落ちてきたものは、反射した後必ず同じ位置に集まるというのがパラボラの大きな特徴です。
パラボラとは本来、数学の言葉で『放物線』という意味です。『放物線』とは、文字通り、物を放り投げたときに、その物が飛んでいく軌跡です。数学では方程式 y=ax^2で表される曲線になります。 展示品のパラボラは、放物線を対称軸で回転させたときにできる放物面という曲面でできています。展示品のパラボラを縦に切断すれば、その断面は放物線になります。 放物線では、対称軸に平行な直線を放物線で鏡面反射をさせると、対象軸上の一点に集まります。これを焦点といいます。展示品では、この焦点の位置に、はね返ったボールが集まります。
衛星放送の受信アンテナも、展示品で見られる原理を用いています。衛星からやってくる電波は、受信アンテナで反射されると一点に集められます。その位置に電波受信機を置くことで衛星放送を受信することができます。
2階の展示室にも大きなパラボラが展示品としておいてあります。そちらでは、2台のパラボラを向かいあわせて置くことで、遠く離れた距離でもささやき声で会話ができます。そちらの展示品も試してみて、パラボラの性質を知って頂ければと思います。
参考資料
視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録(2006)数研出版編集部(数研出版)
日常にひそむ数理曲線(2010)佐藤雅彦(小学館)
文 学芸員 山田吉孝