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展示品「重さくらべ」では、縦・横・高さ10cmの大きさの14種類の材料をそれぞれ持ち上げて、その重さを体験することができます。同じ大きさでも材料によってずいぶん重さが違うことに驚くことでしょう。
展示品「自転車の重さくらべ」では、自転車のスチール製フレーム、カーボン製フレームそれぞれを持ち上げて、その重さの違いを体験することができます。
【重さくらべ】
材料の種類によって、その重さも実にさまざまです。金属の仲間は重く、プラスチックの仲間は軽い材料で水に浮く種類もあります。セラミックスの仲間はその中間ぐらいです。
製品に用いる材料の選択において、材料の重量というのは重要な項目の一つです。文鎮や固定材料など製品の重量そのものが機能である場合を除いて、一般的には軽い方が機能的な製品であるといわれます。軽い方が持ち運びがしやすいし、軽い自動車の方が燃費が良い、などです。
また、製品には強度が重要な項目です。使用する材料の量を少なくすれば軽くなりますが、それでは必要な強度が保てなくなります。軽くて強度が強い材料を用いて製品を作るのが理想的ですが、そのような材料は一般的に値段が高くなります。強度には材料の種類だけでなく形も関わってきます。材料の量が同じでも、例えば棒より太い径のパイプにした方が強くなります。
【自転車の重さくらべ】
自転車のフレームに使われる材料には、スチール(鉄鋼)、アルミニウム合金、チタン、カーボン樹脂などがあります。
展示しているスチール製フレームの重量は約5kg、 カーボン製フレームの重量は約1kgです。なんと5倍の違いがあります。(ただし、この展示品では安全カバーをつけているため、重さの比は2倍ぐらいになっています。)
スチール製フレームは重いですが、一方、修理がしやすく、耐久性があり手入れが良ければ長年使うことができます。なおスチール(鉄鋼)と一口にいってもいろいろな種類があります。例えばクロモリとよばれている材料(鉄にクロムとモリブテンが添加された合金)は、強度が大きいため、同程度の強度を保つのに少ない材料ですみ軽量化できます。単にスチール製の名で売られているフレーム(展示しているもの)は荷物を運ぶなどの実用自転車に、高価なクロモリ製フレームはマウンテンバイクやサイクリング用自転車などに使われています。
カーボンと単によばれることも多い炭素繊維強化プラスチックは、炭素(カーボン)の繊維を織りそれを何層も重ねたものにプラスチックをしみ込ませ、加熱して固めて作られます。プラスチックには軽いという長所と弾性率が小さい(=小さな力で大きく変形する)という欠点があります。その欠点を炭素繊維で補った複合材料です。炭素繊維の重ね方などの製造方法の違いで、強度等の性能が左右される材料です。カーボン製フレームは自由な形が可能、非常に軽いなど優れた性質をもっていますが、高価です。競技用自転車にも使われています。
このように、自転車のフレームという同じ強度や機能をもちながら、重量が違うさまざまな材料があります。
参考資料
理科年表 密度の項(2009) 国立天文台編(丸善)
http://ja.wikipedia.org/wiki/フレーム素材_(自転車)
文 学芸員 石田 恵子・山田 吉孝