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弾み方・板ばねの力くらべ

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展示作品の狙い

 物には「弾性」という性質があることを知ってもらうための2つの展示があります。
 「板ばねの力くらべ」は、板ばねの力でボールを発射させ、そのボールが坂道を上がっていく高さで、いろいろな材料のばねの強さをくらべる展示です。
 「弾み方」は、いろいろな材料の上に金属ボールを落下させ、その弾み方をくらべる展示です。

知識プラスワン

【ばねと弾性】 
 「ばね」は身の回りのいろいろな場所で使われています。ばねというと線を巻いた形のものを思い浮かべますが、それだけでなく、いろいろな形のばねがあります。板の形をした板ばね(電池ボックスの接点等に使用)、重ね板ばね(トラックのサスペンション等に使用)、ゼンマイばね、文房具のゼムクリップやダブルクリップのような複雑な形のばねなどさまざまです。
 ばねは「弾性」を利用した製品です。「弾性」とは、外から力を加えて変形した物体が、その力を取りのぞけば元の状態に戻る性質をいいます。
【弾性変形と塑性(そせい)変形】
 多くの材料は、外から力を加えても変形が小さいときは元に戻ります。このときの変形を弾性変形といいます。
 一方、外から力を加えた後、その力を取りのぞいても形が元にもどらない変形があります。これを塑性変形といいます。粘土がわかりやすい例ですね。
 金属は、外から働く力が小さいときは弾性変形ですが、働く力が大きくなると塑性変形します。これを原子レベルでみると何がおきているのでしょう。弾性変形は、各原子が互いの位置関係を変えず原子間の距離が力に応じて変化するだけなので、元に戻ることが可能です。塑性変形は、原子が互いに離れてその位置関係もずれてしまい、元に戻れなくなってしまった変形です。
【ヤング率】
 さて、弾性変形のときは、加える力と変形する大きさ(例えば、ばねの伸びた長さ)は比例します。これを「フックの法則」といいます。
 材料をくらべる場合は、同じ関係を単位面積あたりに直して考えます。単位面積あたりの力を「応力」といい、MPa(メガパスカル)あるいはN/mm^2という単位で表します。
 (1000000Pa=1MPa=1N/mm^2 ) *(注)
 また変形した寸法を元の寸法で割り算した比率を「ひずみ」といいます。単位はありません。応力とひずみは比例し、次のような式が成り立ちます。
 (応力)=(弾性係数または弾性率)×(ひずみ)
 なお引っ張る応力や圧縮する応力の場合は、弾性係数を特に「ヤング率」とよびます。
ヤング率の単位にはGPa(ギガパスカル=1000MPa)を使うことが多いです。値が大きいほど弾性変形させるのに大きな力が必要です。ヤング率は材料ごとに決まっている値で、熱処理などの加工で値が変わることはありません。
【弾み方】
 展示品「弾み方」の落下する金属ボールも下の材料も硬そうで、変形するようには見えません。しかし、衝突したときに目に見えないほどわずかに変形し、元に戻ろうとしてお互いに押し合うのです。その力で金属ボールが跳ね上がります。硬い物は変形しにくいですが、小さな変形に対して大きな弾性で元にもどろうとします。
 一般的に硬い物ほど高く跳ね上がります。ヤング率が同じ材料でも、熱処理等の加工で硬さが異なると跳ね上がり方が違います。しかしながら、表面の凹凸などの状態も影響しやすい実験です。この展示では、硬さと跳ね上がり方の結果が厳密ではないことをあらかじめおことわりいたします。 
*(注) mm^2は「平方ミリメートル」を表します。

 


【 参考資料 】

参考資料
強さのおはなし(1997)森口繁一(日本規格協会)
金属疲労のおはなし(2007)西島敏(日本規格協会)
硬さのおはなし 改訂版(2001)寺澤正男 他(日本規格協会)
いまさらきけない物理の疑問(2009)左巻健男(技術評論社)
(株)パイオラックス ばねの話と技術・ばねの基礎知識 のサイト
      http://www.winmedia.co.jp/piolax/08others/technology/index.html
文 学芸員 石田 恵子

 

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