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パソコンや携帯電話、電化製品などに使われている電子部品は「半導体」とよばれる材料からつくられています。半導体は電気的におもしろい特徴をもっています。
この展示では、半導体とは何か、そのしくみや材料等について、映像と実物で解説しています。
【半導体って、なに?】
金属のように電気をよく通すものを「導体」といい、ゴムなどのように電気を通さないものを「絶縁体」といいます。そして導体と絶縁体の中間のものを「半導体」といいます。また半導体から作られた電子部品(=半導体デバイス)も、略して半導体とよばれています。
半導体である物質には、次のようなものがあります。
単体(=1種類の元素だけでできている物質)では元素周期表14族のシリコン(ケイ素の英語名)やゲルマニウムが半導体です。また化合物では、ガリウムひ素など、13族(アルミニウムやガリウムやインジウム)と15族(リンやヒ素)との化合物半導体があります。12族(亜鉛やカドミウム)や16族(酸素や硫黄など)を使うもの、3元素、4元素からなる半導体もあります。
代表的な半導体であるシリコンという元素は、岩石の主成分で地球上に無尽蔵に存在します。また熱に強く、絶縁体のまくである二酸化ケイ素を作りやすいという便利な特徴もあります。それでシリコンが半導体の主役となっています。なお、家庭用品でよく使われる「シリコーン」は全く別の物質です。
<表-1
半導体の材料としてよく名前が登場する元素たち>
【半導体の特徴】
金属のような導体では温度が高くなると電気を通しにくくなりますが、半導体では逆に電気を通しやすくなります。半導体の大きな特徴は、熱や光や電圧など外部の条件によって、電気の通しやすさが変化することです。
さらに半導体材料の種類や半導体の組み合わせ方で、電気の流れる量や方向を変えることができます。つまり半導体を使うと、電気の流れを操作できるのです。
【2種類の半導体で性能を発揮】
代表的な半導体はシリコンですが、シリコンだけでは、自由電子が少なすぎ実用には向きません。そこで高純度のシリコンにごく微量の不純物を混入して、人工的な半導体であるP型半導体とN型半導体をつくります。
大雑把にいうと、マイナスの電気をもつ電子が少し足りないのがP型、少し余っているのがN型です。他の材料からなる半導体の場合も同様です。P型とN型を組み合わせることで、さまざまな性能をもつ半導体製品がつくられています。そのうちの数例を紹介しましょう。
・ 「ダイオード」…P型半導体とN型半導体をくっつけたもの。P型にプラス極、N型にマイナス極をつなぐと電流が流れますが、その逆につなぐと流れません。それゆえ、ダイオードは交流(電気が流れる方向がたえず変わる)を直流(電気が一方向だけに流れる)に直すことができます。これを整流作用といいます。
・「発光ダイオード(LED)」…電気を流すと光を発するダイオード。信号機、イルミネーション、液晶画面のバックライトの明かりなどに使われています。
半導体の材料や添加する不純物などによって、発光する色が変わります。例えばガリウムひ素(GaAs)の半導体(*)からは赤外線が、窒化ガリウム(GaN)の半導体からは青色の光が発光します。
白色ダイオードは、赤・青・緑の三種類の発光ダイオードを1つにしたタイプと、青色発光ダイオードと蛍光体を用いるタイプがあります。
(*)ガリウムとひ素の化合物。2つの元素の割合次第で、P型半導体とN型半導体のどちらもつくることができます。
・「フォトダイオード」…発光ダイオードとは反対で、光があたると電気信号が流れます。リモコンからの赤外線を受信する部品がこれです。
・ 「トランジスタ」…P型半導体とN型半導体を、PNPまたはNPNの順にくっつけたもの。小さな電気信号をそのままの形で大きくする増幅作用があります。
上の例は単一機能をもった電子部品ですが、これらが多数集まり電子回路としてつながって一つの役目を果たす部品が集積回路(IC)です。そしてICチップ、CPU、USBメモリ(フラシュメモリ)、CCDセンサー等の製品として、私たちの回りで大活躍しています。
協力
信越化学工業株式会社
参考資料
図解雑学 半導体(2005) 燦ミアキ・大河啓(ナツメ社)
フォトサイエンス化学図録(2006) 半導体 (数研出版)
文 学芸員 石田恵子