科学館を利用する > 展示ガイド > キーワード検索 > 「ね」ではじまるキーワード > キーワード【燃料タンク】 > H-IIBロケット
屋外展示広場に国産大型ロケットH-IIBの展示があります。このロケットの大部分が、実物と同じ構造の試験機です。図の、第1段エンジン部、第1段燃料タンク、第1段中央部、段間アダプター、フェアリングが実機です。あとの部分は実際のロケットを参考に製作しました。打ち上げる時のH-IIBロケットはこの他に2機のメインエンジン、4本の固体ロケットブースターなどがつきます。
タンク部分が切断してあるので内部構造を見ることができます。軽くて丈夫なロケットにするため「蜂の巣状」に加工してあることが分かります。タンクには低温の液体水素を入れるためロケットの外装は断熱材になる塗装をほどこします。このロケットも展示する際に同じ断熱材を使って塗装しました。この様にロケットには、最先端の設計技術と高度な製作技術が投入されています。
本物のロケットの大きさ、構造を間近に実感していただけます。
【H-IIBロケットの構成】
H-IIBロケットは国際宇宙ステーションへ物資を届ける日本の補給船HTV(H-II Transfer Vehicle)の打ち上げに使用します。液体燃料を使った2段式のロケットで、第1段の直径は約5.2メートル、全長は57メートルです。全備重量は531トンで、日本で開発した中で最大のロケットです。展示のロケットは本物と同じタンクを用いているため直径は5.2メートル。全長は実際のH-IIBロケットよりも少し短めの約50メートル(展示品先端から最後部までは約46メートル)になっています。
【初号機の打ち上げ】
H-IIBロケットの初号機は2009年9月11日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。この時、HTVも1号機でしたが、ロケットの打ち上げ、国際宇宙ステーションへのHTVの接続共に無事成功しました。正確にロケットを予定の軌道に乗せる日本の高い打ち上げ技術と、宇宙空間において補給機を微妙に制御して確実に国際宇宙ステーションに接続する技術の高さが実証されました。
【国内の他のロケット展示】
宇宙開発と関わりが深い地域やJAXAの研究所があるところにロケットの展示があります。
鹿児島県種子島にはJAXAの「種子島宇宙センター」がありますが、その公園にH-IIロケットの実物大模型があります。また、施設見学を申し込むと施設内にある実物のH-IIロケットを見学することができます。
宮城県の角田(かくだ)市にもJAXAの「角田宇宙センター」があります。そこで、市の施設「角田スペースタワー・コスモハウス」には、H-IIロケットを立てて作った実物大模型があります。横のタワーのエレベーターにのると、ロケットを眺めながらタワーの展望台までいけます。
「つくばエキスポセンター(茨城県)」や、「栃木県子ども総合科学館(栃木県)」にもH-IIロケット実物大模型があります。「宮崎科学技術館(宮崎県)」には少し小型のH-Iロケットの実物大模型があります。(平成28年現在)
JAXAのいくつかの施設では、実物のロケットを見ることができます。茨城県つくば市の「JAXA筑波宇宙センター」にはH-IIロケットの実物展示が、神奈川県相模原市の「相模原キャンパス(宇宙科学研究所)」にはM-Vロケットの実物展示があります。
名古屋地域にはロケット製造に関連する企業が多く、そのことを市民の皆さんに知っていただきたいという関係者のご協力もあって、今回、名古屋市科学館に大型の実物の部品を用いたロケット展示が実現しました。
協力
宇宙航空研究開発機構
三菱重工業
川崎重工業
参考資料
JAXA「H-IIBロケット」パンフレット
著者: 学芸員 鈴木雅夫・持田大作・学芸課天文係