科学館を利用する > 展示ガイド > キーワード検索 > 「し」ではじまるキーワード > キーワード【深海】 > 無人探査機 ドルフィン3K
科学館(展示室)の外にも、展示品があります。深海の調査を目的に作られた無人探査機です。海洋資源、海洋生物、地震などの調査が主な目的です。
科学館(展示室)の外にも、展示品があります。深海の調査を目的に作られた無人探査機です。海洋資源、海洋生物、地震などの調査が主な目的です。
知識プラスワン
ドルフィン3K
この展示品は、独立行政法人・海洋研究開発機構が計画したもので、3000mの深海にもぐり、海底の鉱物資源や海洋生物に関する調査を行うために作られた国産初の無人探査機です。高精細カメラやマニピュレータなどが装備されていますが、これらは洋上の船から遠隔操作します。1987(昭和62)年から2002(平成14)年まで、日本近海の海洋調査のため576回潜航しました。2003(平成15)年からは、後継機のハイパードルフィンがその役割を担っています。
資源・地震・生物などが調査の目的
日本周辺の海域は海洋資源の宝庫といわれています。メタンガスがシャーベット状になったメタンハイドレートや、東シナ海での天然ガスなどがそれです。これらの調査のために海底探査が重要な役割を果たします。また、日本周辺で起きる地震の調査にも、海底の探査は必要です。
こうした実用的な研究以外にも、深海での生物の活動を実際に見ることは、学術研究の上で貴重な情報をもたらします。さまざまな研究の進展が期待されています。
いちばん深い海は
ドルフィン3Kや後継のハイパードルフィン以外にも、深海巡航探査機「うらしま」、有人深海調査船「しんかい2000」、無人探査機「かいこう7000Ⅱ」などがあり、それぞれ潜航できる深さが特定されています(図)。
相当な深さまで潜ることができるのですが、ところで、いちばん深い海はどこにあるのでしょうか? 現在、もっとも深い海溝、すなわち海底が細長く溝状になった部分は、マリアナ海溝とよばれる場所です。
1960(昭和35)年、アメリカ海軍の協力を得て、オーギュスト・ピカールが開発した潜水艇「トリエステ号」にウォルシュ大尉とピカールの息子・ジャックが乗り込み、マリアナ海溝の底を目指しました。潜水艇には鋼鉄のおもりとガソリンの浮力装置が装備されており、深度が調整できるようになっていました。5時間かけて潜り海底に到達した時の深度計によると、11521m(後に10916mと修正)であったといいます。
1995(平成7)年、海洋研究開発機構の遠隔操作無人潜水機「かいこう」がマリアナ海溝の最深部であるチャレンジャー海淵の最深部に達し、10911mの深度を記録しました。
海の最も深いところは、陸で最も高いエベレストをひっくり返しても届かないことがわかります。
協力 海洋研究開発機構
参考資料
海洋研究開発機構のサイト
http://www.jamstec.go.jp/
文 学芸員 馬渕浩一