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この展示品は風力発電機と太陽電池を組み合わせたもので、発電した電力をバッテリーにためて、夜間の照明灯に電気を送ります。
風力発電は、風の力を用いて発電を行うので、石油や石炭などの資源を消費せず、二酸化炭素の排出もないので、エネルギー資源の枯渇問題や地球温暖化問題などの対策として注目を集めています。
【風力発電の長所】
上記に述べたように、再生可能エネルギーと呼ばれる枯渇しない自然のエネルギーを利用することで発電をすることができるため、エネルギー資源の枯渇を心配する必要がありません。また、発電時に二酸化炭素を排出しないため地球温暖化問題に寄与することもありません。それ以外にも、離島などの送電が難しい地域で発電を行うことができたり、風が安定して吹く地域では大規模の風力発電施設を作ったりすることができます。また、海上に大規模な風力発電施設が世界各地で作られています。
【風力発電の短所】
まさに風が頼りの発電施設ですので、風が一定に吹いていない地域では安定した電力供給が困難になります。また、風力発電施設が増えるに伴い、騒音被害の問題や風力発電の羽に鳥が巻き込まれて死亡するバードストライクの問題が大きくなっています。
【風力発電の種類】
風力発電の種類は、風車の形状で分けることができます。
・風車の軸の向きによる分類
風車の回転軸が水平のものと垂直のものがあります。風向きによって風車の向きを変える必要のあるものが水平軸のものです。風力発電と聞いて思い浮かべることが多い3枚羽のプロペラ式のものがその代表です。垂直軸のものは、風向きを気にする必要がありませんので構造が簡単になります。科学館の展示品の風力発電は垂直軸です。
・風車の羽の形状による分類
風車は風を受けて回転します。吹いてくる風を回転する力に変換する方法に2通りあります。1つは風を受け止めその力で回転するもので、抗力型と呼ばれます。オランダの古典的な風車がそれにあたります。おもちゃの風車も抗力型の風車です。もう1つは揚力型と呼ばれ、風車の羽が飛行機の翼と同じ役目をしています。羽の断面が飛行機の翼の断面と同じ形状をしていて、飛行機の翼が風を受けて揚力を得るのと同じ原理で、風車を回転させます。プロペラ式の風力発電や、科学館の展示品は揚力型です。
【科学館の風力発電】
科学館の生命館の南庭には小型風力発電があります。直径3m、4枚羽で羽の長さ2mで、風速12m/秒のときに1,360Wの電力が得られます。また、太陽電池も一緒に設置されています。また、科学館の建物の北東上部に2基の風力発電が取り付けてあり、こちらは1基の大きさが直径2.4m、3枚羽で羽の長さが5.16mの風車です。風速12m/秒のときに2基で6,000Wの電力が得られます。
協力 名古屋城北ライオンズクラブ
参考資料
アサラスコープ No.376「新展示品紹介 風力発電装置」(2005)山田吉孝(名古屋市科学館)
文 学芸員 山田吉孝